ゲハジ

ゲハジ：預言者エリシャの従者、その光と影

ゲハジは、旧約聖書の『列王記下』に登場する預言者エリシャの従者です。彼の物語は、忠実な従者としての側面と、欲深さからくる過ちを犯す人間の弱さを描いています。以下に、彼の生涯と関連する出来事について詳細に見ていきましょう。

シュネムの婦人との関わり

ゲハジの物語は、『列王記下』4章でシュネムの婦人との出会いから始まります。婦人はエリシャを親切にもてなしており、それに対してエリシャは彼女に報いたいと考えていました。ゲハジは、婦人が不妊であることをエリシャに告げ、それを受けてエリシャは婦人に1年後に息子が生まれると預言します。預言通り、婦人は男の子を授かりますが、数年後に子供はクモ膜下出血で亡くなってしまいます。

深い悲しみに暮れる婦人は、エリシャを訪ねて足元にすがりつきます。その時、ゲハジは婦人を突き飛ばそうとしますが、エリシャはそれを制止し、自ら子供を生き返らせる決意をします。エリシャは、ゲハジに自分の杖を持たせ、先に婦人の家へと送り出しますが、ゲハジが杖を子供に置いても子供は生き返りません。結局、エリシャが到着し、祈りを捧げることで子供は蘇生します。

ナアマンの癒しとゲハジの不正

『列王記下』5章では、アラムの軍司令官ナアマンが皮膚病を癒してもらうためにエリシャを訪れます。エリシャはナアマンを癒しますが、その際に贈り物の受け取りを断ります。ナアマンが帰路についた後、ゲハジはエリシャの名を騙り、ナアマンを追いかけて衣服と銀を要求します。彼はそれらを自宅に隠しますが、エリシャにはその不正行為が見抜かれていました。エリシャはゲハジを厳しく非難し、彼にナアマンの病が移るという呪いを宣告します。ゲハジは皮膚病を患い、人々の前から姿を消しました。

その後のゲハジ

『列王記下』8章では、ゲハジが再び登場します。エリシャはシュネムの婦人に7年間の飢饉が来ることを予告し、彼女に避難するように勧めます。彼女は家族と共にペリシテ人の地に避難し、7年後に帰国すると、家や畑が他人の手に渡っていました。婦人は王に訴え出るために王宮に向かいますが、その時、王はゲハジにエリシャの業績を語らせていました。ゲハジが婦人の息子を蘇生させた話を語った時、ちょうど婦人とその息子が王宮に到着したため、ゲハジは王に婦人を紹介し、その結果、王は彼女の財産を回復させました。

聖書外文献におけるゲハジ

ミドラーシュでは、ゲハジはエリシャの弟子たちに悪影響を与えていたとされています。弟子たちはゲハジの短気さを恐れ、エリシャに近づくことをためらっていたそうです。また、シュネムの婦人を突いた行為は、具体的には胸を突いたと解釈されています。さらに、ゲハジがエリシャの杖を使って動物の死骸を生き返らせる実験をしたものの、途中で止まってはならないという命令に背いたため、子供を生き返らせることができなかったとされています。

ハザルによると、『列王記下』7章でサマリアの城門にいた四人の皮膚病患者はゲハジとその子供たちであるとされ、アラム軍の撤退を伝えたことは賢明な弟子としての側面を示していると評価されています。しかし、王にエリシャの業績を語る際にエリシャの名前を呼び捨てにしたことは、無礼であると断罪されています。

ゲマラーでは、エリシャがゲハジを再び登用しようとしたが失敗したとされ、ゲハジは来世での分け前を約束されていない数少ない人物の一人とされています。また、シュネムの婦人とのやり取りから、ゲハジがエリシャの通訳を務めていた可能性が指摘されています。

まとめ

ゲハジは、エリシャの従者として様々な出来事に関わりました。彼の物語は、人間の欲深さや過ち、そしてその結果としての悲惨な結末を描いています。しかし、一部の文献では、彼の行動の中に賢明さや使命感を見出すこともできます。ゲハジの物語は、私たちに人間の複雑さと、善と悪の間で揺れ動く心の葛藤を考えさせる良い例と言えるでしょう。

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