列王記

列王記（れつおうき）

『列王記』は、旧約聖書の一部であり、古代ユダヤの歴史を詳細に記録した書物です。この書は元来『サムエル記』の続編として一体のものだったと考えられていますが、後に分割されました。また、内容は上下に分かれており、これは七十人訳聖書の伝統に由来しています。

特に、正教会ではこの書を『列王記第三』、『列王記第四』と呼ぶことがあります。『列王記』の内容は、主にイスラエルとユダの王たちの治世を中心に展開され、特に『サムエル記』との関連性が高く、一部のストーリーは両書に重複しています。ユダヤ教においては、この書は「前の預言者」として、他の書籍とともに位置づけられています。

伝統的には、列王記の編纂者は預言者エレミヤであるとされていますが、詳細な事実は不明瞭です。以下に『列王記』の内容を詳述します。

列王記上

ソロモン王の治世（上1:1-11:43）

この章では、ダビデ王の死を受けて、ソロモンがいかにして王位を継承したかが描かれます。王位を巡る争いも重要なテーマであり、ソロモンがダビデの後を継ぐ過程が詳述されています。ソロモン王は明智な判断をもって国を治め、エルサレムに壮大な神殿と宮殿を建設します。また、シェバの女王が訪れた際のエピソードも興味深いです。最終的には、ソロモンの背信が彼の死につながることが示されています。

イスラエルとユダの王たち（上12:1-16:34）

ソロモンの死後、王国は二つに分かれ、イスラエルとユダのそれぞれの王たちの治世が交互に描かれます。ヤロブアムやレハブアムといった王たちの行動が、それぞれの国の運命に影響を与えていきます。

預言者たち（上17:1-22:54）

この章では、預言者エリヤと彼の功績が中心に描かれます。特に、アハブ王やアラムとの戦い、ナボトのぶどう畑の物語などが展開されます。エリヤの言動は、神からの啓示と指導を受けて彼自身が果たした役割を強調しています。

列王記下

イスラエルとユダの王国について（下1:1-17:41）

下巻は、特にアハズヤやヨラムといった王の治世について詳しく述べており、エリシャの奇跡のエピソードも取り上げられています。エリシャは、神の使者として多くの奇跡を行い、後の王たちへの警告を発します。

紀元前721年以降のユダ王国（下18:1-25:30）

ヒゼキヤ王やマナセ王の治世が描かれ、ユダ王国がどのように衰退していくのかが説明されます。エルサレムの陥落と、ヨヤキンの監禁・解放までの歴史が語られ、当時の人々がどのように神と向き合ったかが浮かび上がります。

このように『列王記』には王たちの治世、預言者たちの言葉、神の意志が色濃く表れており、それにより古代ユダヤの歴史と文化を深く理解することができる貴重な資料となっています。

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