コインテルプロ

コインテルプロ（COINTELPRO）

コインテルプロは、アメリカ合衆国の連邦捜査局（FBI）が1960年代に行った、主に反体制活動家に対する秘密工作プログラムです。このプログラムは、初代FBI長官ジョン・エドガー・フーヴァーによって1956年に設計され、1971年まで続きました。その目的は、アメリカ国内の様々な抗議団体や政治的運動を妨害することにありました。対象には、アメリカ共産党、黒人解放運動、フェミニスト団体などが含まれ、政治的活動を抑え込もうとする行動が行われました。

プログラムの概要

コインテルプロは、国家の安全保障を理由に行われ、不正な手段で構成されていました。その内容には、違法な傍受や盗聴、さらには暴力行為が含まれています。特にフーヴァーの影響下で、FBI捜査官には特定の団体や個人の評判を損なう任務が課せられました。これにより、既存の社会秩序を維持すること、そしてフーヴァーが脅威とみなした動きの「中立化」が狙いとされていました。

歴史的背景

最初にコインテルプロが始まった1956年、フーヴァーは憲法修正第1条に基づく自由が、彼が脅威と考える活動を制約していることに対して強い不満を抱いていました。こうした背景から、彼は「ダーティ・トリック」として知られる一連の違法行動を開始します。プログラムは極秘のままであり、1971年に機密文書が盗まれた際に初めてその存在が公になりました。このプログラムは、ベトナム戦争に対する抗議活動や著名な活動家への調査、さらには著名人に対する脅迫的行為を伴っていました。

意図された効果

コインテルプロは、FBIの捜査官に対して「破壊的」とされる団体に対して混乱を引き起こすよう指示していました。その方法には、以下のような手段が含まれます：

• - 活動家の個人情報を公開し、団体のイメージを悪化させる。
• - 人種的緊張を利用して内部対立を引き起こし、団体を分裂させる。
• - 他団体の不正行為を噂することで不和を生じさせる。
• - 資金調達を制限するために、非営利団体への圧力をかける。
• - 警察に対する暴力を働きかけることで抗議活動を制限する。

主な手法

コインテルプロで使用された手法は、主に5つのカテゴリに分類されます：
1. 潜入：FBIの潜入捜査官が反体制派に浸透し、組織内の信頼を損なわせ、支持者を恐れさせること。
2. 心理戦：偽情報を流布し、ターゲットグループに混乱をもたらす。たとえば、間違ったニュースを流したり、偽の文書を配布したりする手法です。
3. 法制度の悪用：虚偽の証言や偽の逮捕状を用いて、活動家を司法的に脅迫する方法です。
4. 武力の使用：地方警察と協力し、不当な家宅浸入や暴力を行使すること。
5. 世論操作：公の場での意見を封じ込め、運動の正当性を低下させるために、ネガティブキャンペーンを実施する。

違法な監視

チャーチ委員会による1976年の報告書では、政府が多くの市民に対して秘密裏に監視を行っていたこと、また、多くの不適切な情報収集が行われていたと結論づけています。プライバシーの侵害が常態化し、個人の自由が脅かされる結果を招いていました。さらに、これによって団体や個人が、彼らの政治的信念や社会的信条のために迫害される事例が多く見られました。

このように、コインテルプロはアメリカの歴史の中で非常に物議を醸すプロジェクトでした。反体制派や社会運動に対する圧迫の実態は、政治的活動における自由を脅かす大きな影響を持っており、今日でもその影響は語り継がれています。

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