コウヤボウキ

コウヤボウキ（高野箒）

コウヤボウキ（学名: Pertya scandens）は、キク科に属する落葉性の小低木です。日本では特に関東地方以西の本州、四国、九州に広く分布しており、日当たりの良い山林ややや乾燥した林内などで見かけることができます。人気のある本種は、古くからその茎を用いて箒を作るために利用されてきました。

名称の由来

コウヤボウキという名前は、和歌山県に位置する高野山が由来です。この地域では、茎を束ねて箒の材料として使われていたことから名付けられました。また、古くは「玉箒（たまぼうき）」とも呼ばれており、正月の飾りや祭りの際によく用いられました。正倉院にある「子日目利箒（ねのひのめとぎぼうき）」もコウヤボウキから作られていることが知られています。

特徴

コウヤボウキは、根元から多くの枝を放出し、小低木として成長します。通常の高さは60〜90センチメートルで、全体的に草本のような見た目を持つ一方で、茎は灰褐色をしており、木質化して非常に硬くなります。茎には多数の毛が生えており、触れるとざらざらした手触りが感じられます。

この植物の葉は本年枝に互生し、幅広い卵形をしていますが、前年枝の節に束生する葉は細長いのが特徴的です。冬になると葉を落とすため、寒い季節には枝のみが目立つようになります。冬芽は卵形で、白い毛におおわれており、枝に付く側芽は互生しています。

花と果実

春になると新しい葉が展開し、夏頃には枝先に花芽が形成されます。花期は秋の9月から10月にかけてで、本年枝の先端に頭状花が一輪ずつ咲きます。これらの花は、筒状の花が十数個集まった白い房状で、長さは約1.5センチメートルほどで、花びらは細長く、螺旋状に巻かれています。

果実は痩果であり、冠毛が特徴的です。風に乗って散布されやすく、そのため長い冠毛を持つ果実は冬でもしっかりと残っていることが多いです。さらには、風が弱い場所では春まで残存することもあります。

近縁種

コウヤボウキにはいくつかの近縁種が存在します。例えば、ナガバノコウヤボウキ（P. glabrescens）、カシワバハグマ（P. robusta）、オヤリハグマ（P. triloba）、クルマバハグマ（P. rigidula）などがあります。これらの種も同じくキク科に属しており、各々異なる特性を有しています。

数多くの文献でも言及

コウヤボウキの特性や利用法は、多数の文献でも取り上げられています。例えば、佐竹義輔や大井次三郎、北村四郎などが著した『日本の野生植物 草本III 合弁花』や、他の多くの自然観察に関する書籍においても、詳細に述べられています。これらの情報は、植物に対する理解を深め、実際に観察する際の参考になります。

コウヤボウキは、その美しい姿と高い利用価値から、多くの人々に親しまれています。そのため、今後もその保護や栽培が望まれることでしょう。

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