ココボロ

ココボロ（Cocobolo）

ココボロは、中米に自生するツルサイカチ属の植物であるダルベルギア・レトゥサ（Dalbergia retusa）やダルベルギア・グラナディロ（D. granadillo）から得られる心材です。特に、ダルベルギア・レトゥサに関しては数多くの文献でココボロ材の主成分として挙げられています。ココボロは、美しい色合いや高い耐久性から、さまざまな用途に使用されますが、ワシントン条約の附属書IIにリストされているため、取引には注意が必要です。

語源

「ココボロ」という名前は、アラワク語の「kakabali」に由来しており、スペイン語を通じて英語に取り入れられたとされています。この名称はココボロの独特な性質を反映しています。

外観の特徴

ココボロの心材は、切断直後に黄橙色から深紅の色合いを持ち、色の変化がとても特徴的です。空気に触れると、鮮やかな橙色に変わり、次第に深色の筋や模様が現れます。一方、辺材は白色またはほぼ無色で、木工愛好者によって好まれることが多いです。木目は多様で、まっすぐなものから波状のものまでさまざまなパターンがあります。

性質

ココボロの木材は、非常に重く硬い特性を持っており、気乾比重はおおよそ0.98から1.20となっています。加工には手道具や機械ともに適していながら、刃物の摩耗も早いため、刃先の管理が必要です。乾燥が遅く、干割れや表面割れが生じやすいですが、乾燥後の寸法安定性は非常に高いです。また、加工中に放出される精油は、時に強い酸っぱさを感じさせることがあります。ココボロの木材は剛性が高く、油分が多いため、接着性には欠けるものの、滑らかな仕上がりを得られます。

用途

ココボロは、その耐水性や耐久性を生かして、ナイフや道具の柄、またブラシや道具の柄として広く利用されています。彫刻や木彫りにも適しており、チェスの駒や宝石箱、楽器材などに使われます。最近では、美観の高さから家具や装飾品の材料としても人気があります。

文化的側面

パナマの観光客向けの店では、ココボロの彫刻を見ることができ、日本でも仏壇などに使われることがあります。ココボロは映画やテレビ番組でも取り上げられており、多様な文化的な文脈で注目されています。特にジム・ジャームッシュの映画『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』では、ココボロの特製弾丸が登場するなど、視覚芸術とも関わりがあります。ココボロの特性や用途、文化的背景に触れることで、この素材の魅力が一層引き立ちます。

ココボロはその特異な性質を有する木材として、採用される場面も多岐にわたり、木材の中でも特別な存在感を放っています。

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