コサイン4乗則

コサイン4乗則（cos⁴ law）とは

コサイン4乗則（コサインよんじょうそく、cos4 law、cosine fourth law）は、光学系、特に写真レンズにおいて、入射角と照度の関係を記述する法則です。この法則は、レンズを通る光の照度が、入射角のコサインの4乗に比例して変化するという事実を示しています。

法則の詳細

レンズに入射する光の光軸に対する入射角を θ とすると、レンズ面での照度 E は次の式で表されます。


E ∝ cos⁴θ


ここで、記号 ∝ は「比例する」という意味です。この式は、入射角 θ が 0° (光軸に平行) の時、照度が最大となり、入射角が増加するにつれて照度が急速に減少することを示しています。具体的には、入射角が大きくなるにつれて、照度は cos(θ) の4乗に比例して低下します。

コサイン4乗則の影響

この法則は、特に写真撮影において、画面周辺部の光量低下（周辺光量落ち）を引き起こす主な原因の一つです。画面の中心部では光線が光軸にほぼ平行に入射するため、照度は最大となりますが、画面の周辺部では光線が入射角をもって入射するため、照度が低下します。これにより、写真画像では、中心部が明るく、周辺部が暗くなるという現象が見られます。これは、特に広角レンズや大口径レンズで顕著になります。

周辺光量低下とその対策

周辺光量低下は、写真の仕上がりに影響を与えるため、レンズ設計や画像処理において様々な対策が講じられます。

1. レンズ設計：レンズの構造を工夫し、入射角による照度の低下を最小限に抑える設計を行います。これは複雑なレンズ構成によって実現されることが多いです。
2. 周辺光量補正：デジタルカメラでは、画像処理エンジンによって、画面周辺部の照度を補正する機能が搭載されています。これにより、均一な明るさの写真を得ることが可能です。
3. 画像編集ソフトウェア：画像編集ソフトウェアでも、周辺光量落ちを補正する機能が提供されています。これにより、撮影後の画像編集によって周辺光量低下を補正できます。

コサイン4乗則の応用

コサイン4乗則は、光学設計において重要な考慮事項ですが、一方で、この法則を理解することで、特定の結果を得るために意図的に利用することもできます。例えば、特定の照明効果を再現するために、レンズやフィルターの設計にこの法則を利用することがあります。

その他の光学現象との関係

コサイン4乗則は、周辺光量低下の主な原因ですが、他にも口径食（ケラレ）などの影響も考慮する必要があります。口径食は、レンズの構成や絞りの影響により、光が遮られる現象であり、これによっても画面周辺部の光量が低下します。

まとめ

コサイン4乗則は、レンズを通る光の照度が入射角によってどのように変化するかを理解する上で重要な法則です。この法則を理解することで、写真撮影や光学機器の設計において、光量低下を考慮し、より良い結果を得ることができます。特に、広角レンズや大口径レンズを使用する際には、この法則の影響を理解し、適切な対策を講じることが重要です。



関連項目

コサイン
周辺光量
* 口径食、ケラレ

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