口径食

口径食とケラレの解説

口径食（こうけいしょく）とは、光学の世界において、写真の中心部分と周辺部分での明るさの差を引き起こす現象を指します。特にこの現象は、周辺光量の低下として知られています。この記事では口径食に関する詳細を説明し、またそれに関連するケラレという現象についても考察します。

周辺光量の低下の原因

周辺光量の低下には主に二つの原因が存在します。一つ目は、レンズの絞りを通過する光の入射角に関するもので、光が光軸に対して角度を持って入ってくると、絞りの形に基づいてその断面形状が変化します。この際、光は本来の円形ではなく、ゆがんだ形（レモン形や満ち欠けた月のような形）になってしまい、特に開放絞りの状態で周辺部の光量が低下してしまいます。この現象が口径食の正体であり、絞りを絞ることである程度改善できます。この際、ボケ像も変形し、割れた円形になる場合があります。

この現象に関連して、英語では「ヴィネッティング（vignetting）」と呼ばれますが、より広義には周辺光量の低下すべてを指す用語として使われています。具体的な現象を指す場合には「光学的なヴィネッティング（optical vignetting）」と区別されています。

二つ目の原因は、光量の変化がコサインの4乗則に起因する点です。これは、絞りの設定とは無関係に、光がレンズに入射する角度によって変動します。したがって、レンズがその設計上想定している範囲外での光の取り扱いによって、光の入り方が変わることが影響しています。この周辺光量の低下は、設計上の問題の他にも不適切なアクセサリーの使用によっても発生することがあります。この場合、特に「ケラレ」と呼ばれます。

ケラレについて

ケラレは、レンズの設計を考慮しない方法で使用することによって生じる光の不足を指し、英語では「機械的なヴィネッティング（mechanical vignetting）」と呼ばれます。ケラレの主な原因には次のようなものがあります。

• - 不適切なレンズフードの使用や、過度に厚いフィルター枠の取り付けによって、画面の四隅が暗くなる。
• - 画面サイズに対してイメージサークルが不十分なレンズを使用することにより、周囲の光量が不足する。
• - コンバージョンレンズなどを付加する際、画像全体への光の供給が困難になること。

特に、日本語では「ケラレ」という言葉が広く使われていますが、これは「蹴られ」から来たものではなく、イタリア語が語源とされています。例えば、内蔵ストロボを広角レンズと一緒に使用した際、近距離でストロボ光がレンズ鏡胴やフードによって遮られて部分的に暗くなる現象もケラレとして認識されています。

このように、口径食とケラレは光学的特性に密接に関連しており、これらを理解することにより、写真撮影の際に起こり得る光の不足や特異なボケの現象を予見し、適切な対策を講じることが可能になります。

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