コシャクシギ

コシャクシギ（小杓鴫）

概要

コシャクシギ（学名：Numenius minutus）は、チドリ目に属するシギ科の鳥類です。全長は約30cmで、外観は特徴的な嘴と体色を持っています。主にロシアのシベリアで繁殖し、暖かい季節にはニューギニアやオーストラリアに渡り豆を越冬します。日本では春と秋の渡りの時期に、数少ない旅鳥として観察されることがありますが、通常は数羽単位での確認が多く、時には数十羽の群れが見られることもあります。特に西日本、特に九州地方での観察情報が多いです。

生息分布

コシャクシギは、その繁殖地として主にシベリアのツンドラ地帯を選びます。冬になると、南半球に向けて渡りを行い、オーストラリアやニューギニアで越冬します。日本においては、渡りの季節に少数が見られるのみで、全体的な個体数は少ないとされており、日本の渡りのコースから外れていることがその理由とされています。これに対し、世界的にはコシャクシギは普通種として見なされています。

形態の特徴

コシャクシギは、その体型が特徴的です。全長は約30cmで、嘴は下に曲がっており、やや短めです。頭部は黒褐色で、淡色の眉斑と頭央線が見受けられ、体の上面は黄褐色を呈します。腰から尾にかけては淡褐色となっており、腹部を除いた部分には細かい黒斑が散見されます。さらに、オスとメスは非常に似た色合いをしており、雌雄の違いを見分けるのは難しいです。

生態と行動

コシャクシギは非繁殖期には水田や農耕地、草原などに生息しています。干潟での観察は稀で、普段は群れで活動することが一般的です。しかし、日本での記録では大抵少数の個体が見られます。繁殖期となる5月から7月には、ツンドラ地帯の草地に巣を作ります。卵生で、1回の繁殖で3から4個の卵を産み、雌だけが抱卵を行います。

食性

コシャクシギの食性は主に動物食で、特に昆虫類を好んで捕食します。ハチやアブ、バッタなどが主な餌です。他には、植物の種子も摂取することがあるため、草食的な側面もあると言えるでしょう。

保全状況

コシャクシギの保全状態は、IUCNのレッドリストにおいて「最少 Concern」と評価されています。日本の環境省では「絶滅危惧IB類 (EN)」に位置付けられていますが、繁殖を行う地域が特定されているため、渡来数は少なくて済んでいます。全体としては、世界的に安定した個体数を保っているため、絶滅の危機に瀕しているわけではありません。

参考文献

• - 川上 洋一『絶滅危惧の野鳥辞典』、東京堂出版
• - 叶内 拓哉『山渓ハンディ図鑑7 日本の野鳥』、山と渓谷社 1998年

関連項目

• - 日本の野鳥一覧

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