コソボの戦い

コソボの戦い

コソボの戦いは、1389年にコソボ平原で起こったセルビア公国とオスマン帝国との間の重要な戦いです。この戦いは、バルカン半島の勢力図を大きく塗り替える転換点となりました。

戦いの背景

当時、オスマン帝国はアジアから勢力を拡大し、バルカン半島への侵攻を進めていました。これに対し、セルビア侯ラザル・フレベリャノヴィチは、ボスニア王スチェパン・トヴルトコ1世、ワラキア大公ミルチャ1世など、バルカン半島の諸侯と連合軍を結成し、オスマン帝国の侵攻に対抗しようとしました。

戦いの経過

1389年6月15日、コソボ平原でセルビア連合軍とムラト1世率いるオスマン帝国軍が激突しました。しかし、数に勝るオスマン帝国軍の前に、セルビア連合軍は敗北を喫しました。この戦いで、セルビア侯ラザル・フレベリャノヴィチは捕らえられ、処刑されました。

戦いの影響

コソボの戦いは、オスマン帝国にドナウ川以南の支配権を確立させ、セルビア、マケドニア、ブルガリアなどの国々がオスマン帝国への服従を余儀なくされました。オスマン帝国はバルカン半島征服において大きな成果を挙げましたが、ムラト1世自身もセルビア貴族ミロシュ・オビリッチによって暗殺されるという事態に見舞われました。その後、バヤズィト1世がスルタンに即位し、バルカン半島征服事業を引き継ぎました。

オスマン帝国というイスラム勢力がバルカン半島での存在感を確固たるものにしたことは、ヨーロッパのキリスト教世界を刺激し、神聖ローマ皇帝ジギスムントをはじめとするヨーロッパ諸侯は「十字軍」を結成し、1396年のニコポリスの戦いへと繋がります。

コソボの聖地化と民族対立

戦地となったコソボは、セルビア王国にとって聖地となりました。しかし、1980年代にセルビア民族主義を掲げるミロシェヴィッチが大統領になると、コソボの自治権が大幅に制限され、クロアチアやボスニア・ヘルツェゴビナなどで難民となったセルビア人が入植させられる政策がとられました。これにより、コソボの民族バランスが大きく崩れ、1990年代後半のコソボ紛争へと繋がっていきました。

関連事項

ニコポリスの戦い
コソヴォの娘
* コソボ紛争

コソボの戦いは、単なる中世の戦いではなく、その後のバルカン半島の歴史と民族対立に深く根ざした出来事として、現代においても重要な意味を持っています。

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