マケドニア

マケドニアの地域と歴史

マケドニアは、東ヨーロッパのバルカン半島中央部に位置し、歴史的かつ地理的に重要な地域です。約67,000平方キロメートルの面積に、約465万人が住んでいます。現在、この地域は主に三つの国に分かれています。南部は約50%がギリシャ（エーゲ・マケドニア）、北西部は約40%が北マケドニア共和国（ヴァルダル・マケドニア）、北東部は約10%がブルガリア（ピリン・マケドニア）です。この地域の中心となる都市には、北マケドニアの首都スコピエや、ギリシャのテッサロニキがあります。

地域の名称とその背景

「エーゲ・マケドニア」、「ヴァルダル・マケドニア」、「ピリン・マケドニア」といった名称は、スラヴ系マケドニア人によって好まれて使用されることが多いですが、ギリシャ人やブルガリア人からは好意的に受け取られないこともあります。このため、地域間における呼称やアイデンティティに関わる対立が存在してきました。

マケドニアの歴史的背景

古代マケドニア

古代マケドニアは、ギリシャ人の故地であり、一時はアレクサンドロス大王を輩出した地域として知られています。古代ギリシャ語を話し、古代オリンピックにも参加していました。古代マケドニアは、山地のアッパー・マケドニアと海沿いのロウワー・マケドニアという2つの地域に分かれて認識されていました。

スラヴ人の南下

9世紀から11世紀にかけて、スラヴ人が南下し、ブルガリア人が西進することによって、地域の人口構成が変わりました。ギリシャ人の多くは南に追いやられ、南スラヴ人が大多数を占めるようになりました。この時期には、キュリロス・メトディオス兄弟がスラヴにキリスト教を広めたことも重要な出来事です。

中世から近世にかけて

中世には、ブルガリア、セルビア、オスマン帝国といった異なる勢力に支配され続けたため、独自の国家が形成されることはありませんでした。この背景から、マケドニア独自の民族意識が形作られるのが遅れました。1[[9世紀]]に入ると、バルカン諸国が独立を果たす中で、マケドニアはオスマン帝国の領土として残されていました。

近代の動乱

1[[9世紀]]末の露土戦争後、サン・ステファノ条約により一時的にブルガリアに自治権が与えられましたが、ベルリン会議で再びオスマン帝国に戻されるなど、領有権を巡る争いが続きました。この時期、マケドニア民族主義が形成されつつありましたが、完全な独立には結びつきませんでした。20世紀初頭のバルカン戦争により、ギリシャ、セルビア、ブルガリアといった国々に地割れされ、現代の国境が確立されました。

ユーゴスラビアの一部として

第一次世界大戦後、マケドニアはセルビア王国の一部となり、後にユーゴスラビアの一部になりました。1945年、マケドニアは「マケドニア人民共和国」として再編成され、その後1972年には「マケドニア社会主義共和国」となりました。

独立とその後

1991年、マケドニアはユーゴスラビアから独立し、その際に国名問題が発生しました。長年にわたり「マケドニア」という国名の使用を巡る対立が続きましたが、2018年6月に「北マケドニア」と改称する合意が成立しました。この改称により、北マケドニアはNATOに加盟し、EUとの関係も進展しています。

このように、マケドニアは長い歴史の中で様々な民族、国家との関係の中でその独自性を模索してきた地域であり、その歴史は現在にも影響を与え続けています。

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