コソボ独立宣言

コソボ独立宣言

コソボ独立宣言は、2008年2月17日にコソボ議会がセルビアからの独立を宣言した歴史的な出来事です。この宣言は、長年にわたる民族対立と国際的な介入を経て、コソボの将来を大きく左右することになりました。

独立までの背景

ユーゴスラビア時代

1945年にユーゴスラビア社会主義連邦共和国が成立すると、コソボはセルビア共和国の一部となり、自治州として位置づけられました。1974年には、他の連邦構成国と同等の自治権を獲得しましたが、1981年に共和国への昇格を求めるアルバニア人住民による暴動が発生し、セルビア人との対立が深刻化しました。

自治権の剥奪と紛争

1989年、セルビアはコソボの自治権を大幅に縮小し、翌年にはアルバニア系住民がコソボ共和国の樹立と独立を宣言しました。これに対し、セルビアは自治州議会や政府の機能を停止し、直接統治に乗り出しました。アルバニア人もコソボ解放軍を組織し、武力闘争へと発展しました。

1998年には、セルビアがコソボ解放軍の掃討作戦を開始し、治安が悪化。1999年の和平交渉も決裂し、NATO軍による空爆が行われました。この紛争により、数十万人のアルバニア系難民が発生しました。

国連の暫定統治

紛争後、コソボは国連安保理決議1244に基づき、国連の暫定統治下に置かれました。2002年には、地位確定交渉の前提条件として、統治機関の構築など8つの目標が定められました。2005年、国連はマルッティ・アハティサーリを地位交渉特使に任命し、コソボとセルビア間の交渉を仲介しましたが、ロシアの反対により合意には至りませんでした。

独立宣言

国際社会の要請を受け、コソボは独立宣言を2008年のセルビア大統領選挙後に延期しました。そして2月17日、コソボ議会はアメリカ合衆国やEU主要国の支持を背景に、独立を宣言しました。

国際社会の反応

コソボの独立宣言に対し、国際社会の反応は分かれました。アメリカ合衆国やEU主要国は独立を承認しましたが、セルビア、ロシア、中国などは承認しませんでした。セルビアは、コソボ独立を認めない立場を表明し、国際司法裁判所に勧告的意見を求めました。

国際司法裁判所の判断

2010年、国際司法裁判所はコソボ独立宣言について、国際法に違反しないという勧告的意見を示しました。この判断は、コソボの独立をめぐる議論に一定の法的根拠を与えましたが、セルビアは依然として独立を認めていません。

その後

2011年以降、EUの仲介により、コソボとセルビアは関係正常化に向けた交渉を行っていますが、状況は進展と停滞を繰り返しています。2022年現在、約110か国がコソボの独立を承認していますが、セルビアを始め、中国やロシアなどは承認しておらず、コソボは国連にも加盟していません。

まとめ

コソボ独立宣言は、複雑な歴史的背景と国際的な力関係が絡み合った結果として起こりました。独立後も、コソボはセルビアとの関係正常化や国際社会での地位確立など、多くの課題に直面しています。コソボの将来は、地域全体の安定と平和に大きく影響を与えることが予想されます。

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