コソボ解放軍

コソボ解放軍（UÇK）とは

コソボ解放軍（アルバニア語: Ushtria Çlirimtare e Kosovës; UÇK）は、1990年代後半にコソボの独立を求めて活動したアルバニア人による武装組織です。ユーゴスラビアからの独立を目指し、セルビアの政府や警察署などを標的とした攻撃を行いました。

コソボ紛争とNATOの介入

1998年から1999年にかけて、コソボ解放軍の攻勢はコソボ紛争を引き起こしました。これに対し、ユーゴスラビア軍やセルビア人準軍事組織が武力攻撃を行い、多くのアルバニア人が難民となりました。この難民の流出は民族浄化として国際的に報じられ、NATOが介入する事態となりました。

紛争は交渉による合意によって終結し、コソボの統治は国際連合の手に委ねられました。

コソボ解放軍の歴史

1996年2月、コソボ解放軍はコソボ西部でセルビアの政府や警察署などを標的とした攻撃を開始しました。セルビア人統治者はコソボ解放軍をテロリストとみなし、治安部隊を増強した結果、コソボ解放軍はアルバニア人の信頼を高めることになりました。

外国人戦力

コソボ解放軍には、スウェーデン、ベルギー、イギリス、ドイツ、アメリカ合衆国、フランスなどからの外国人も参加していました。クロアチア軍国際義勇機構からは、兵士の訓練に参加する義勇兵もいました。コソボ解放軍は、義勇兵に対し感謝の意を示すために、彼らを故郷まで送り届けました。

1999年以降のコソボ解放軍

コソボ解放軍への信頼は依然として強く、元メンバーはコソボの政治に強い影響力を持っています。ハシム・サチはコソボ民主党の党首となり、首相や大統領を務めました。アギム・チェクも紛争終結後にコソボの首相となりました。

ラムシュ・ハラディナイは元指揮官であり、首相を一時務めた後、旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷から訴追を受けましたが、無罪となりました。その後、再び首相を務めています。ファトミル・リマイも訴追を受けましたが、全ての容疑で無罪となっています。

一方で、ハラディン・バラはラプシュニク収容所での捕虜虐待により、懲役13年の判決を受けました。

外国からの支援

ドイツの情報機関がコソボ解放軍の訓練と装備強化に関与していたとの指摘があります。また、アメリカやイギリスの情報機関も、アルバニアでコソボ解放軍の兵士を訓練し、武装支援していたとされています。

報告されている虐待行為

コソボ解放軍による戦争犯罪も報告されています。セルビア人やロマなどの少数民族、セルビア当局に協力したとみなされたアルバニア人に対する殺害、拉致、拷問などの行為が行われました。

旧ユーゴスラビア国際戦犯法廷の主任検事カルラ・デル・ポンテは、コソボ紛争終結後に臓器取引が行われたと主張しています。この主張はコソボやアルバニアの当局によって否定されていますが、EUは2014年に臓器売買疑惑が裏付けられたと発表し、特別法廷が設置されました。2020年には、ハシム・サチらが紛争時におけるセルビア人やアルバニア人に対する迫害、拉致、拷問、虐殺行為、臓器売買疑惑で起訴されています。

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