コソボ防護隊

コソボ防護隊（KPC）とは

コソボ防護隊（アルバニア語: Trupat e Mbrojtjes së Kosovës）は、コソボにおける文民による緊急事態対応機関です。1999年9月21日、国際連合コソボ暫定行政ミッション（UNMIK）の命令1999/8に基づき、設立されました。その成員の多くは、解体されたコソボ解放軍（KLA）の元兵士でした。

設立の背景

1999年のコソボ紛争終結後、北大西洋条約機構（NATO）主導のKFORが展開を開始。これにより、コソボ解放軍の位置づけを再定義する必要が生じました。国際連合安全保障理事会決議1244では、コソボ解放軍の武装解除が決定され、KFOR指揮官とコソボ解放軍総指揮官の間で、武装解除と改組について合意がなされました。

コソボ解放軍の武装解除に伴い、コソボ担当国際連合事務総長特別代表（SRSG）は、コソボ防護隊の創設を定めた命令1999/8に署名。その後、コソボ防護隊の指揮官とKFORの指揮官の間で「諸原則の合意」が結ばれました。国際移住機関（IOM）は、コソボ解放軍の兵士の登録を推進し、25,723人が登録を受けました。

コソボ防護隊の責務

UNMIK命令1999/8は、コソボ防護隊の責務を以下のように定めています。

火災、産業事故、毒物流出に対する災害対策
捜索と救出の任務
人道支援
地雷除去の支援
インフラストラクチャーと共同体の復興への寄与

ただし、コソボ防護隊は防衛、法執行、暴動鎮圧、域内治安維持などの任務は負いません。国際連合事務総長コソボ特別代表が指揮・資金拠出・統治権を行使し、NATO主導のKFORの指揮官が日常業務を監督します。

初代最高司令官には、元コソボ解放軍の軍事部門指揮官であるアギム・チェクが就任。最後の最高司令官は、元コソボ解放軍の指揮官であるスュレイマン・セリミ中将でした。コソボ防護隊は地域ごとに6つの防護管区に分かれ、それぞれに地域指揮官が配置されました。2001年には、各管区および中央直轄下に、合計7つの爆発物処理班が設置されました。

課題と移行

コソボ防護隊は、創設当初から職権乱用や軍紀の乱れが指摘されていました。2001年6月には、複数の隊員がマケドニア紛争を引き起こした民族解放軍への支援に関与した疑いで職を解かれています。

コソボでは、多数派のアルバニア人とセルビア人との間で政治的・領土的問題が長年にわたって存在しました。アルバニア人の多くは、コソボ防護隊を将来の独立国コソボの軍の中核と期待していました。しかし、コソボの最終的な地位を決定するコソボ地位プロセスの中で、国際的な監督下でのコソボの独立が提案され、コソボ防護隊の解体と軽武装のコソボ治安部隊の創設が求められました。

2008年のコソボの一方的な独立宣言後、コソボ防護隊はコソボ治安部隊への移行のため任務を終了しました。新たに創設されたコソボ治安部隊は、爆発物処理や民間緊急事態への対応を任務としました。コソボ治安部隊への入隊は新たな隊員登録を要し、コソボ防護隊の隊員に自動的な採用は保障されませんでした。

2007年時点で、コソボ治安部隊は5,052人の隊員を擁し、予算は1760万ユーロであり、コソボの域内総生産の0.79%でした。

関連項目

コソボの軍事
* コソボ警察

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