国際移住機関

国際移住機関（IOM）

国際移住機関（International Organization for Migration、略称:IOM）は、1951年に創設された国際機関で、世界中で人の移動や移住に関する問題に特化した組織です。2016年からは国際連合総会のオブザーバー資格を持ち、国際的な場でもその活動を広げています。

IOMの基本理念は「正規のルートを通じて、人としての権利と尊厳を守り、移民と社会の双方に利益をもたらすこと」であり、これを基に様々な活動を行っています。具体的には、移民個人への支援、関係国への技術支援、地域協力の促進などが含まれています。現在、175国がIOMに加盟しており、171の国事務所と557のフィールドオフィスを通じて、約2万人のスタッフが活動に従事しています。

2023年11月には第114回IOM総会が開催され、オリンピックの金メダリストであるモー・ファラーがグローバル親善大使に就任しました。IOMの本部はスイスのジュネーヴに位置しています。

移住に関する活動

IOMは、国際法で認められた難民だけでなく、国内避難民や短期的な避難民、人身取引被害者、気候変動や紛争のために強制移住を余儀なくされた人々、さらには自発的な移住についても広範に支援を行っています。実際、全世界で国境を越えた移民は約30人に1人とされ、特に2022年にはウクライナからの避難民によって国内避難民が6,090万人に達しました。

人道・復興支援

自然災害や紛争の影響を受けた地域での人道的支援も行っており、これは避難民の登録や援助物資の移送、医療機関への支援、仮設住居の提供を含んでいます。復興期には、避難民の帰還を助けるとともに、生活基盤の回復を支援し、地域全体の安定と再生を目指します。

過去の具体例として、ハイチの2010年地震の後に仮設住居を提供したり、ソマリア内戦の際に日本の浄水技術で給水施設を設置するなど、活動が多岐にわたります。

出入国・国境管理の強化

IOMは、紛争地域への不正な人の流れに対処するために、政府の出入国管理能力の向上を支援します。施設やデータ管理システム、備品面の強化を行い、海賊や人身取引に関連する移民保護の研修も実施しています。南スーダンの出入国管理システムの構築支援もその一例です。

元戦闘員の社会復帰支援

和平プロセスが進む地域では、元戦闘員が市民社会に戻れるようサポートし、避難民となることを防ぐ取り組みも行っています。これは地域の安定に寄与するものとされています。

海外在住専門家の帰国支援

IOMは、海外で得た技術や知識を母国の発展に活かせるよう、出身国との協力のもと、専門家の帰国や就業をサポートしています。

日本における活動

日本でのIOMの活動は、1980年代にインドシナ難民の支援から始まりました。その後、移動に関する新たなニーズに応じて多様な取り組みが展開されています。特に人身取引の被害者支援や、難民の第三国定住支援、移民の子どもに対する就学支援などが行われています。

日本における具体的な支援活動には、移民のための「虹の架け橋教室」があり、学習支援を通して地域社会への統合を図っています。また、東日本大震災では、被災した移民に対する緊急帰国支援や心のケアを行った経験もあります。

フォーラムの開催

移住に関する対話や理解を促進するため、IOM は国内でシンポジウムやワークショップを毎年開催しています。これにより、政策形成や社会統合に向けた環境づくりに寄与しています。

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