コッカトゥー島 (ニューサウスウェールズ州)

コッカトゥー島の概要

コッカトゥー島（Cockatoo Island）は、オーストラリアのニューサウスウェールズ州に位置し、シドニー湾に浮かぶ最大の島です。この島はその歴史的な背景から非常に興味深いスポットであり、かつては刑務所や少年院、監獄として利用されていました。また、20世紀にはオーストラリア最大の船渠が設けられ、数多くの船舶がここで建造されました。コッカトゥー島は2010年に国連のユネスコ世界遺産に登録され、他の10の遺産と共に「オーストラリアの囚人遺跡群」の一部となっています。

歴史の背景

コッカトゥー島の歴史は、ヨーロッパ人が到来する前のアボリジニーの人々によって利用されていた時代にまで遡ります。1839年、当時のニューサウスウェールズ植民地の総督ジョージ・ギプスによって、島に刑務所が新設されることが決まりました。この刑務所は1869年まで運営され、その間に多くの受刑者がノーフォーク島から移送され、特に彼らによって岩で作られたサイロが有名です。1842年にはこのサイロに140トンの穀物が貯蔵されていました。

コッカトゥー島では著名な囚人もいました。その中でも特に有名なのがキャプテン・サンダーボルトで、彼の妻が持参した道具を使って脱獄したことで、その名は人々の記憶に残っています。さらに、島では砕石作業が行われ、建造物に使われた石材はシドニーの他の建設プロジェクトにも利用されるようになりました。

船渠の建設と発展

1847年から1857年にかけては、コッカトゥー島でオーストラリア初の船渠となるフィッツロイ・ドック（Fitzroy Dock）の建設が進められました。このプロジェクトに携わった囚人たちは42,000m³の岩を砕き、その一部を船渠に用いることで、1857年に完成に至ります。この船渠は、ニューサウスウェールズ植民地の総督チャールズ・アウグストゥス・フィッツロイの名前にちなんで名付けられ、初めて繋留されたのはHMS Heraldという艦船でした。

1864年には島の管理が二つの機関に分かれ、公共労働局がドックヤードの拡張工事を担当するようになりました。年を追うごとにフィッツロイ・ドックは拡張され、1880年代にはその長さが196メートルにまで達しました。また、1882年から1890年にはサザーランド・ドックが建設され、こちらも多くの船舶が接岸できる大きさを誇るものでした。

第二次世界大戦とその後

第一次世界大戦後、コッカトゥー島はコモンウェルス・ナーヴァル・ドックヤードの所有となり、第二次世界大戦中は戦争の重要拠点とされました。この戦争の真っただ中、島では20隻以上の船舶が建造され、戦後もドックヤードは1992年まで利用され続けました。

コッカトゥー島で建造された艦船には、HMAS WarregoやHMAS Huon、ブリスベンやアデレードなど、数多くの船舶が存在し、オーストラリア海軍の歴史に大きな影響を与えました。

現在のコッカトゥー島

コッカトゥー島の海事産業は1992年に活動を停止しましたが、2005年には再び訪れる人々のために開放され、島内でフェスティバルが開催されるようになりました。現在、この島はシドニー・ハーバー・フェデレーション・トラストによって運営されており、観光地としての役割を果たしています。2008年にはキャンプ場も整備され、訪れた人々はハーバー・ブリッジを一望できる美しい景色を楽しむことができます。また、島内には歴史的な住居もあり、休日の宿泊施設として利用されています。

世界遺産登録基準

コッカトゥー島が世界遺産として登録された理由は、その独特な建築様式や歴史的なイベントに関する意義によるものです。具体的には、人類の歴史上重要な時代を示す建築様式や、顕著で普遍的な価値を持つ事象が条件となっています。このようにして、コッカトゥー島はただの観光地に留まらず、歴史的な重要性を持つ場所として知られています。

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