穀物

穀物について

穀物（こくもつ）は、植物の種子を基にした食品の総称で、主に澱粉素を多く含んでいます。狭い定義では、イネ科の植物から得られる種子（米、小麦、トウモロコシなど）を指しますが、広い意味ではマメ科の種子（豆）や他の植物の種子も含まれます。穀物は食物として人類にとって非常に重要で、米や小麦、トウモロコシなどは世界の主要作物として栽培されています。

穀物の種類と分け方

穀物は主に禾穀類（イネ科）、菽穀類（マメ科）、擬似穀類に分類されます。禾穀類は、米や小麦、トウモロコシなど、マメ科作物は豆類が該当し、擬似穀類にはソバ、キヌア、アマランサスなどがあります。国連食糧農業機関（FAO）では、これらをシリアルと呼び、豆類は別項目で扱われています。生産量では、トウモロコシ、小麦、米が最も多く、これらは「世界三大穀物」とされています。

穀物の栄養と栽培の歴史

穀物に含まれる主な栄養素は炭水化物ですが、タンパク質や脂肪も少量含まれています。穀物だけではタンパク質が不足するため、豆類と組み合わせる文化が多く見られます。例えば、アジアでは「米と豆」、アメリカでは「トウモロコシと豆」というように、穀物と豆はセットで栽培され、食用に供されています。

穀物の栽培は古代から行われており、特に中近東での穀物栽培化は早くから進みました。コムギやオオムギ、ライムギなどがこの地域で培養され、エチオピアや中央アジアなどでも主要な穀物が栽培されました。穀物が脱粒しづらい性質を持つよう選抜され、栽培が広まった結果、急速に多くの地域で普及しました。

精製加工と現代の生産

工業革命までは、穀物を粉にするには石臼と手作業による選別が主流でしたが、19世紀後半からは自動化が進み、精製度の高い製品が市場に出回るようになりました。しかし、精製過程で食物繊維やビタミンが減少するため、健康への影響が懸念されています。近年、穀物価格は経済環境に敏感で、特に飼料需要やバイオエタノール利用の影響を強く受けることがあります。

用途と世界の穀物市場

穀物は、主食としてだけでなく、飼料や醸造原料、食品油の原料としても重要です。特にトウモロコシは飼料用として多く使用され、ビール製造ではオオムギが不可欠です。穀物資源は国際的に市場で取引され、大規模商社や企業により管理されています。アメリカは世界最大の穀物輸出国で、主に小麦やトウモロコシが輸出されています。

日本における穀物の位置

日本では、イネが主食として広く栽培され、この他に麦、トウモロコシが重要です。雑穀については、特に生産量が少なく品薄ですが、一部は地元で重視されています。中国や日本などでは、五穀に代表される主要な穀物が重視され、時代ごとにその内容は変化しています。

このように、穀物は単なる食材ではなく、人類の歴史や文化、経済に深く関わってきた重要な資源であると言えるでしょう。

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