コディーズウィッシュ

コディーズウィッシュ：奇跡の競走馬、そして少年の夢

2018年、アメリカ・ケンタッキー州に、ウォルフ・ヒルシュホーン症候群という、成人まで生き延びることが難しい遺伝性疾患を抱える少年、コディー・ドーマンがいました。コディー少年は馬をこよなく愛しており、キーンランド協会とメイク・ア・ウィッシュ財団の企画で、ゲインズボロファームを訪れる機会を得ます。そこで出会ったのが、生後6ヶ月の鹿毛の子馬でした。子馬は車椅子のコディーの膝に頭を乗せ、しばらくの間彼のそばを離れようとしませんでした。この子馬こそ、後に『コディーズウィッシュ（Cody's Wish）』と名付けられることになる競走馬です。

コディーズウィッシュの競走生活は2021年、3歳シーズンに始まりました。デビュー戦は3着とまずまずのスタートでしたが、その後は着実に勝利を重ね、初勝利を含む3連勝を飾ります。

4歳（2022年）シーズンは、G3レースであるウエストチェスターステークスを制覇し、グレード競走初勝利を挙げます。続くフォアゴーステークス（G1）では、ジャッキーズウォリアーを差し切って見事G1初制覇。そして、ブリーダーズカップ・ダートマイル（G1）では、1番人気に応え、2着馬に1馬身3/4差をつける圧勝劇で2度目のG1タイトルを獲得しました。この勝利は、アルバラード騎手にとってもブリーダーズカップ初優勝となりました。

5歳（2023年）シーズンには、チャーチルダウンズステークス（G1）とメトロポリタンハンデキャップ（G1）を連勝し、G1レース3連勝、通算6連勝という驚異的な記録を打ち立てます。しかし、ホイットニーステークス（G1）では3着に敗れ、無敗街道は途絶えました。その後、ヴォスバーグステークス（G2）を制し、引退レースとなるブリーダーズカップ・ダートマイル（G1）に臨みます。ここでは、接戦の末にハナ差で勝利を収め、ダートマイル連覇、G1通算5勝目を達成しました。

しかし、この勝利の喜びは、悲しみに変わります。ブリーダーズカップ観戦後、コディー少年は17歳で帰路中に亡くなりました。コディーズウィッシュは、少年の夢を乗せて走り続け、その生涯を通じて多くの人々に感動を与え続けました。

2024年には、コディーズウィッシュは年度代表馬、最優秀ダート古牡馬に選出され、その輝かしい競走生活に幕を閉じました。そして、ジョナベルファームにて種牡馬入りを果たし、新たな道を歩み始めました。その血統と実績から、将来の活躍にも期待が高まっています。コディーズウィッシュの物語は、競走馬の枠を超えて、感動的な友情と、夢を追い続けることの大切さを教えてくれる、忘れられない物語として語り継がれるでしょう。

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