コデイン

コデインについて

コデイン（Codeine）は、麻薬の一種であり、主に鎮痛、鎮咳、及び下痢止めの効果を持つオピオイドです。1832年にフランスの薬学者ピエール＝ジャン・ロビケによってアヘンから単離され、現在も多くの国で使用されています。コデインは化学的にはメチルモルヒネと呼ばれる構造を有し、モルヒネに比べて作用が弱いですが、多様な痛みや咳の緩和に効果を発揮します。

効能と効果

コデインは主に次のような症状に対して用いられます：

• - 各種呼吸器疾患による咳嗽と喀痰喀出の困難
• - 痛みの緩和（軽度から中程度の慢性疼痛）
• - 激しい下痢の改善

これらの効果により、医療現場で頼りにされている薬剤の一つとなっています。

製品と処方

コデインは経口投与が可能で、錠剤、散剤、シロップの形状で販売されています。鎮痛効果を高めるために、アセトアミノフェンやアスピリンと組み合わせて処方されることもあります。しかし、コデイン自体の使用には量的制限があり、1回の投与量は最大60mg、24時間で240mgを超えないことが推奨されています。この制限は、効果が量に比例しないため、逆に副作用のリスクが高まるからです。

代謝と作用機序

コデインはプロドラッグであり、体内で約10%がモルヒネに代謝され、これが主な鎮痛作用と関わっています。具体的には、コデインは肝臓の酵素によってグルクロン酸抱合される過程で、その効果を発揮します。主な作用のメカニズムとして、μ-オピオイド受容体への結合があり、疼痛感受性を抑制します。

副作用と禁忌

コデインの使用には副作用が伴う場合があります。一般的な副作用には掻痒感、吐き気、眠気、口内乾燥、便秘、目眩などがあります。また、重篤な副作用としては呼吸抑制があり、特に過量服用時には危険を伴います。以下のような状態の患者には使用が禁止されています：

• - 重篤な呼吸抑制のある患者
• - 気管支喘息の発作中
• - 重篤な肝障害や心不全
• - 妊娠中または授乳中の女性（特に授乳による乳児死亡のリスク）

規制と乱用

コデインは国際条約でスケジュールII薬物に分類され、乱用のリスクが高いとされています。日本では12歳未満への使用は禁止されており、成人でも医師の処方が必要です。一部の成分として含まれる場合はOTC（一般用医薬品）としても販売されることがありますが、過剰摂取や依存症の問題も深刻です。

特にロシアでは、コデインを成分とする咳止め薬の化学処理により、強力な麻薬デソモルヒネを作り出す手法が広まっています。このため、コデインの乱用問題が重要な社会問題となっています。

結論

コデインは多くの医療において有用な薬剤ですが、その使用には注意が必要です。副作用や依存のリスクを理解し、正しい用法・用量を守ることで、その効果を最大限に引き出すことが重要です。

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