コドク

コドクは、アフリカ北東部、南スーダンの北東部に位置する上ナイル州に属する都市です。この都市は、過去の歴史において極めて重要な役割を果たした場所として知られています。

名称の歴史と戦乱

現在のコドクは、かつて「ファショダ」という名称で知られていました。ファショダの名が特に歴史に刻まれているのは、1898年にイギリスとフランスという二つの大国間で発生した「ファショダ事件」の舞台となったためです。この事件は、アフリカ分割を巡る両国の衝突の象徴的な出来事でした。

事件から数年後の1904年、地域を掌握していたイギリス勢力は、戦乱の発生地としての不名誉なイメージを払拭するため、都市名をファショダからコドク（あるいはコトク）へと改称しました。しかし、名称が変更された後も、この地域が平和を享受することは少なく、スーダン内戦をはじめとする長期にわたる紛争の影響を継続的に受けることになります。

特に、第二次スーダン内戦が終結に向かっていた2004年頃になっても、コドク周辺は戦禍を逃れた難民が集まる場所となり、治安状況は依然として悪化していました。

地理と歴史的な背景

コドクは地理的に北緯9度53分、東経32度07分に位置しており、その近傍にはアフリカ大陸を縦断する大河、白ナイル川が流れています。この地はまた、かつてこの地域に栄えたシルック王国の都が置かれていた歴史的な場所でもあります。シルック族は、この白ナイル川周辺に居住し、主に農耕を営んでいた民族です。

経済と人々の暮らし

現在の南スーダンにあたるこの地域は、歴史的にはモロコシなどの穀物栽培が盛んな農業地帯でした。しかし、度重なるスーダンでの内戦は、地域の農業基盤に深刻な打撃を与え、かつての生産性は大きく失われました。

特に、1990年代にはコドクで深刻な飢饉が発生し、多くの人々が苦しみました。このような厳しい状況下で、1990年代中盤からは、アラビアゴムの取引が地域の経済活動の一つとして行われるようになりました。

2011年の南スーダン独立後、コドクの住民たちは、自給自足に近い形で生活を営んでいます。彼らは主に、主食となる雑穀の栽培と、ウシの牧畜を行って生計を立てています。

2012年時点でのコドクの人口は、約7700人と推定されており、長年の戦乱や経済的な困難にもかかわらず、この地で人々の暮らしが営まれていることを示しています。

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