コバタン

コバタン：インドネシアの白いオウム

コバタン（学名: Cacatua sulphurea）は、インドネシアの島々を原産地とする小型のオウムです。別名コハクインコとも呼ばれ、その美しい羽衣から人気を集めていますが、近年は絶滅の危機に瀕しています。

形態

コバタンの体長は約33cmで、尾羽は比較的短いです。全体的には白い羽毛に覆われていますが、頭部には前方へ湾曲した黄色い冠羽があり、耳の周辺や翼、尾羽の下部も黄色く色づいています。嘴は黒く、目の周りには青い皮膚が裸出しているのが特徴です。オスとメスでは虹彩の色が異なり、オスは黒色、メスは赤褐色をしています。雛鳥は全身が黄色い綿羽で覆われています。

分布と亜種

コバタンはインドネシアのスラウェシ島とその周辺の島嶼、小スンダ列島、東ティモールに分布しています。かつてはロンボク島にも生息していましたが、現在は絶滅したと考えられています。香港には移入・定着している個体群も確認されています。オウム属の中では最も西に分布する種です。

コバタンにはいくつかの亜種が知られており、それぞれ分布域や形態に多少の違いが見られます。主な亜種には、コバタン(C. s. sulphurea)、マメコバタン(C. s. abotti)、コキサカオウム(C. s. citrinocristata)、コガタコバタン(C. s. parvula)などがあります。これらの亜種は、生息地の島によって体格や冠羽の色などにバリエーションがあります。

生態

コバタンは主に標高800メートル以下の森林周辺や農耕地などに生息し、ペアまたは10羽以下の小規模な群れで生活しています。果実、液果、種子、花などを主食とし、樹上で採食を行います。繁殖期には樹洞に木の屑などを敷いた巣を作り、2～3個の卵を産みます。雌雄交代で抱卵し、抱卵期間は約27日、孵化後約10週間で巣立ちます。

人間との関係と保全状況

コバタンは、カポックやココヤシ、トウモロコシなどの農作物を食害するため、害鳥とみなされることもあります。しかし、それ以上に深刻な問題は、ペット取引のための乱獲と生息地の破壊です。1940年代までは比較的多くの個体数が確認されていましたが、森林伐採や農地開発、そして密猟によって個体数は激減しています。生息数の減少は、コモドオオトカゲによる雛の捕食や、営巣場所をめぐる競争の激化といった新たな問題も引き起こしています。

これらの脅威に対処するため、コバタンはワシントン条約附属書Iに掲載され、国際的な取引が厳しく規制されています。インドネシア国内でも1992年以降、売買が禁止されています。しかし、依然として密猟や違法取引は根絶されておらず、効果的な保全対策が急務となっています。コバタンの保護のためには、生息地の保全、密猟の取り締まり、啓発活動など、多角的なアプローチが必要不可欠です。

もう一度検索