コバノイシカグマ科

コバノイシカグマ科について

コバノイシカグマ科（Dennstaedtiaceae）は、シダ植物の中で特異な取り扱いがされている科の一つです。この科は、植物の進化において比較的原始的な群に位置づけられており、胞子嚢群が葉の端部またはその近くに形成されることが特長です。また、コバノイシカグマ科には、世界中の熱帯地域に分布する約200種が含まれており、ほとんどの種は地上に生息していますが、一部には岩の上で生えるものも存在します。

特徴

コバノイシカグマ科のシダ類は、大きさが中型から大型で、根茎の形状が多様です。根茎には横に伸びるものと、直立するものがあり、それぞれ異なる中空の中心柱を持っています。根茎の表面には毛が見られることが多く、時には鱗片を持つものもあります。さらに、多くの属においては、葉の基部に腋外芽が形成され、成長過程で根茎が分枝する様子も観察されます。葉は葉柄と根茎の間に関節がなく、柔らかな毛が生えていることが特徴です。

葉の形は単羽状から数回羽状複葉まで多様で、葉質もさまざまですが、多肉質になることはありません。葉脈は一般に羽状に分かれており、稀に網状脈を形成することもあります。胞子嚢群は葉脈の先端に位置し、葉の縁に顔を出すか、近くの面に現れます。胞子嚢を覆う膜は、一般的にコップ型が多いものの、膜がない場合や葉の縁が反転して偽包膜を形成するものもあります。

胞子嚢は、基部が輪状から次第に成熟し、成熟するとバラバラにばらけることがあります。このような素朴な胞子嚢の特徴がこの科の植物の分類に影響を及ぼしています。

分布と生育環境

コバノイシカグマ科は、主に熱帯の地域に分布しており、その生育環境は多様です。多くの種類が地上で成長し、岩の上で見られるものは少数です。こうした分布は、この科の多くの植物が熱帯環境に適応していることを示しています。

系統と分類

かつては、コバノイシカグマ科は他のいくつかのグループと共にイノモトソウ科に分類されていましたが、時代と共に分類が見直されています。特に、田川による1959年の研究では整理された見解が示されており、ワラビ属やユノミネシダ属の胞子嚢群に基づいて、依然としてイノモトソウ科に近い見解が支持されています。また、タカワラビ科との関連性やホングウシダ科との類似点も議論されてきましたが、最近の分子系統解析によってそれらは否定されています。

さらに、コバノイシカグマ科の植物の多くは、葉柄から腋外芽が発生する特徴があり、ユノミネシダ属においては無限の成長が観察され、古代の茎の特徴が残る例もあります。

日本で見られる属

日本においては、コバノイシカグマ科に属する6つの種類が確認されています。これには以下の分類が含まれます：

• - コバノイシカグマ属（Dennstaedtia）: コバノイシカグマ、イヌシダ、オウレンシダ
• - フモトシダ属（Microlepia）: フモトシダ、フモトカグマ、イシカグマ
• - イワヒメワラビ属（Hypolepis）: イワヒメワラビ
• - ワラビ属（Pteridium）: ワラビ
• - ユノミネシダ属（Histiopteris）: ユノミネシダ
• - オオフジシダ属（Monachosorum）: ヒメムカゴシダ、フジシダ、オオフジシダ

これらの種は、日本の生態系にも深く根ざし、多様な生息環境の中で独自の進化を遂げています。

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