コパ・メヒコ

コパ・メヒコは、メキシコ国内で開催されている主要なサッカーカップ戦です。その長い歴史の中で名称を幾度か変更しており、過去にはコパ・タワーやコパ・エリミナトリアと称され、2012年からはコパMXとして知られています。

この大会は1907年に創設されましたが、その後いくつかの形式変更や長期にわたる中断期間を経て、2012年に再び開催されることとなりました。メキシコにおけるプロの全国リーグ（現在のプリメーラ・ディビシオンに当たるリーガ・マジョール）が導入されたのは1943年のことであるため、それ以前のコパ・メヒコは、事実上メキシコ国内で最も権威のあるサッカー大会としての意味合いを持っていました。

歴史

創設から黎明期：コパ・タワーとコパ・エリミナトリア (1907-1926)

大会は1907年、メキシコ駐在イギリス人大使であったレヒナルド・タワー氏の発案により「コパ・タワー」として始まりました。当初はメキシコシティおよびその周辺地域に本拠を置くクラブが主な参加対象でした。記念すべき第一回大会である1907-08シーズンでは、CFパチューカが決勝でレフォルマACを破って優勝しました。その後、レアル・クルブ・エスパーニャが1916-17シーズンから1918-19シーズンにかけて三連覇を達成し、規定によりトロフィーの永久保持が認められました。コパ・タワーは1919年までに合計11回開催され、レアル・クルブ・エスパーニャが最多となる4度の優勝を果たしています。

1919年から1926年までは「コパ・エリミナトリア」という名称で開催が続けられました。この期間にはアストゥリアスFCが1921-22シーズンから三連覇を飾り、この時代の最多優勝クラブとなりました。大会形式は当時の地域リーグとは異なり、一発勝負のトーナメント方式や決勝戦が導入されていました。

中断を経てコパ・メヒコとして復活 (1932-1997)

1926年から1932年までの期間は大会が開催されませんでしたが、1927年にはメキシコサッカー連盟が設立されています。1932年、大会は正式に「コパ・メヒコ」として復活を遂げ、当時のラサロ・カルデナス大統領からの公式な支援を受けました。復活後初の大会となった1932-33シーズンはクルブ・ネカクサが優勝しましたが、アマチュア時代（1932-1943）を通じて最も多くの優勝を飾ったのは、やはりアストゥリアスFC（5回）でした。

1943年からは、メキシコ国内にプロの全国リーグが導入されたことに伴い、コパ・メヒコもプロ大会として位置づけられ、1997年まで継続されました。当初は当時の1部リーグであったリーガ・マジョール所属クラブのみが参加していましたが、1950年の大会以降は一部の例外を除いて、2部リーグであるセグンダ・ディビシオンのクラブも参加するようになりました。

長期中断とコパMXへの変革 (2012-)

1997年を最後に、大会は再び長期的な中断期間に入りましたが、2012年、当時のプリメーラ・ディビシオン会長であったデリコ・デ・マリア氏によって大会の復活が表明されました。この復活にあたり、大会は「コパMX」と改称され、新たな形式が導入されました。現在では、国内リーグと同様に、秋季に行われる「アペルトゥーラ」と春季に行われる「クラウスーラ」の年間2回開催という形式が採用されています。

コパMXの大会形式 (2012年以降)

コパMXは、国内外の大会スケジュールを考慮して、アペルトゥーラとクラウスーラの二つのトーナメントとして開催されます。それぞれの大会形式は以下の通りです。

アペルトゥーラ（秋季トーナメント）

CONCACAFチャンピオンズリーグなどの国際大会に参加しないプリメーラ・ディビシオン所属の14クラブと、リーガ・デ・アセンソ（2部）の14クラブ、合計28クラブが参戦します。リーガ・デ・アセンソからは、前年度の成績上位13クラブに加え、プリメーラ・ディビシオンから降格した1クラブが選ばれます。これらのクラブは4クラブずつ7つのグループに分けられ、各グループ内で1回総当たりのリーグ戦を行います（各クラブ3試合）。ホーム開催となる試合は抽選で決定されます。グループ分けの抽選に際しては、プリメーラ・ディビシオン所属クラブがポットA、リーガ・デ・アセンソ所属クラブがポットBとなり、グループ間の実力差が偏らないよう配慮されています。グループリーグを終えた時点で、各グループの首位クラブ（7クラブ）と、全グループの2位クラブの中で最も成績が良かった1クラブ、合計8クラブが決勝トーナメントへと進みます。決勝トーナメントは準々決勝から決勝まですべて1試合制で勝敗を決定します。

クラウスーラ（春季トーナメント）

国際大会に参加しないプリメーラ・ディビシオン所属の11クラブと、リーガ・デ・アセンソの13クラブ、合計24クラブが参戦します。これらのクラブは4クラブずつ6つのグループに分けられ、各グループ内で1回総当たりのリーグ戦を行います（各クラブ3試合）。ホーム開催となる試合は抽選で決定されます。グループ分けの抽選に際しては、プリメーラ・ディビシオン所属クラブと、リーガ・デ・アセンソにおける前年度の勝ち点上位1クラブがポットA、その他のリーガ・デ・アセンソクラブがポットBとなり、グループ間の実力差が偏らないよう配慮されています。グループリーグを終えた時点で、各グループの首位クラブ（6クラブ）と、全グループの2位クラブの中で最も成績が良かった2クラブ、合計8クラブが決勝トーナメントへと進みます。決勝トーナメントは準々決勝から決勝まですべて1試合制で勝敗を決定します。

このように、コパMXはメキシコのサッカーカレンダーにおいて、リーグ戦とは異なる独特の緊張感を持つカップ戦として、プロ・アマチュア時代を通じて重要な位置を占めています。

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