コプリフシティツァ

コプリフシティツァ：ブルガリア民族復興期の息づく町

ブルガリア西部、ソフィア州に位置するコプリフシティツァは、スレドナ・ゴラ山脈のトポルニツァ川沿いに広がる歴史的な町です。その名は、ブルガリア語でイラクサを意味する「kopriva」に由来しています。1876年4月蜂起の中心地として知られ、現在では、当時の面影を色濃く残す街並みや、盛大な民族音楽祭で多くの観光客を魅了しています。

歴史と文化の融合

コプリフシティツァは、19世紀のブルガリア民族復興期における建築様式を色濃く残す、貴重な町です。ソフィアから東へ約111キロメートル、山間部にあるこの町には、およそ383件もの建造物が存在し、その多くは修復によって当時の姿を保っています。町を歩けば、1876年の4月蜂起を想起させる歴史的建造物だけでなく、民族衣装や工芸品、織物、刺繍といった、当時のブルガリア人の生活様式を物語る貴重な遺物を見ることができます。

特に、4月蜂起の発端となった地として、コプリフシティツァの歴史的意義は計り知れません。オスマン帝国の支配に対する抵抗の象徴として、この町はブルガリアの歴史に深く刻まれています。

民族音楽祭：伝統と創造性の舞台

1965年以降、コプリフシティツァではほぼ毎年、ブルガリア民族祭が開催されています。ブルガリア各地から音楽家や工芸家が集まり、町を取り囲む牧歌的な丘陵地帯を舞台に、数々のパフォーマンスが繰り広げられます。この民族祭は、特にアマチュアの音楽家にとって貴重な機会であり、共産主義時代には多くの民族音楽作品がここで録音され、世界中に発信されました。

主要な建造物

コプリフシティツァには、多くの歴史的建造物が保存されています。

オスレコフ邸（1853-1856年）：現在は博物館として公開され、当時の生活の様子を垣間見ることができます。
ゲオルギ・ベンコフスキ邸（1831年）：4月蜂起の指導者の一人、ゲオルギ・ベンコフスキの生家です。
リュベン・カラヴェロフ邸（1810-1835年）：著名な作家リュベン・カラヴェロフの生家です。
その他: ディムチョ・デベリャノフ邸（1830年）、トドル・カブレシコフ邸（1845年）、リュトフ邸（1854年）、ナイデン・ゲロフ邸、生神女就寝祭聖堂（1817年）、聖ニコライ聖堂（1839年）、4月蜂起殉死者の遺骨を収める納骨堂（1926年）、カラチェフ橋（1813年）、パジ・ネンチョ・パラヴェエフ・チタリシテ（1869年）、聖キリル・メフォディイ学校（1837年）など、数多くの建造物が歴史を物語っています。

これらの建造物に加え、手工芸通りやギャラリーなども観光名所となっています。

美しい自然と静寂

標高約1030メートルの丘陵地帯に位置するコプリフシティツァは、美しい自然に囲まれた静かな町です。2012年9月時点での人口は約2405人ですが、その静けさと歴史的建造物の調和が、訪れる人々に安らぎを与えてくれます。

コプリフシティツァは、歴史、文化、そして自然が一体となった、ブルガリアを代表する魅力的な観光地と言えるでしょう。

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