コマ (映画・漫画)

コマ（齣）とは何か？

漫画、アニメーション、映画など、時間軸に沿って変化する視覚表現において、1枚1枚の静止画、もしくは映像の最小単位を「コマ」と呼びます。英語では「frame」に相当し、写真フィルムや映画フィルムでは特にこの呼び方が一般的です。漫画では、1つの場面や瞬間を表現する四角形の枠内に描かれた絵を指し、これらのコマを連続させることで時間経過やストーリーが表現されます。コマの数は作品によって異なり、1ページに数コマから数十コマが使用されます。

漫画におけるコマの表現

漫画において、コマは単なる絵の入れ物ではありません。コマの大きさ、形、配置、枠線の種類（実線、破線、太さなど）は、時間や空間の表現、そして読者の感情に大きな影響を与えます。例えば、大きなコマは重要な場面を強調し、小さなコマは一瞬の出来事を示唆します。枠線を省略したり、コマからはみ出す描写をすることで、躍動感や臨場感を演出することもあります。また、複数のコマにまたがってキャラクターを描く「ぶち抜き」という手法も存在します。コマの境界線は、壁や柱などとして視覚的に表現されることもあります。

コマの数は作品全体の構成に影響を与え、一コマ漫画、四コマ漫画など、コマ数を基準とした分類も存在します。

映画・アニメーションにおけるコマ

映画やアニメーションにおいては、1秒間に表示されるコマ数を「フレームレート」と呼びます。サイレント映画は1秒間に16コマ、トーキー映画は24コマが標準的でしたが、初期の映画や実験作品では異なるコマ数が使用された例もあります。アニメーションでは、1秒間に描かれる絵の数は必ずしもフレームレートと同じではありません。特に、リミテッドアニメーションと呼ばれる手法では、動きが少ないシーンでは同じ絵を複数コマ使用することで制作効率を上げていました。現代のデジタルアニメーションでは、24フレームレート（1秒間に24コマ）が一般的ですが、特殊効果やCGはフレームレートとは独立して処理される場合があります。アニメーション制作現場では、「コマ」を「K」と略記することがあります。

現代の動画技術とコマ

テレビ放送やデジタル動画編集など、現代の動画技術では「frame」をカタカナ語として「フレーム」と呼ぶのが一般的です。しかし、「コマ」という表現も、特にアニメ制作や家電製品の説明書などでは残っています。「コマ送り」「コマ落ち」「コマ飛び」といった言葉も、動画再生に関する一般的な用語として広く使われています。ストップモーションアニメーションの手法は「コマ撮り」と呼ばれます。

まとめ

「コマ」は、漫画、映画、アニメーションなど、様々な視覚表現において、時間と空間を表現するための基本単位です。その表現方法は媒体や作品によって異なり、それぞれの特性を生かした多様な表現方法が用いられています。コマのサイズ、配置、枠線、そしてコマ数といった要素は、作品全体の雰囲気やストーリー展開に大きく影響を与え、表現者の意図を伝える重要な役割を果たしているのです。

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