コミック弁護基金

コミック弁護基金(CBLDF): 表現の自由を守る闘い

コミック弁護基金(Comic Book Legal Defense Fund, CBLDF)は、アメリカ合衆国における漫画家の表現の自由と権利を守るために1986年に設立された非営利団体です。漫画家、出版社、販売者など、漫画業界関係者の修正第一条（言論・出版の自由）に基づく権利保護と、訴訟費用支援を主な活動としています。

設立の背景と活動内容:

CBLDFは、1986年に漫画販売店主がわいせつ物頒布容疑で逮捕された事件をきっかけに設立されました。この事件を機に、漫画表現を取り巻く法的・社会的状況の課題が浮き彫りになり、表現の自由を守る必要性が広く認識されるようになりました。

CBLDFの活動は多岐に渡り、具体的には以下の通りです。

法的支援: 漫画家や関連業者への法的支援、訴訟費用負担
啓発活動: 表現の自由に関する教育・啓発活動、講演会、セミナー開催
政策提言: 漫画表現規制反対、図書館などへのグラフィックノベル普及促進
出版物: 活動報告や関連書籍の出版

組織運営と支援者:

CBLDFは、業界の著名人や関係者から幅広い支援を受けています。運営には、漫画家、弁護士、業界関係者などが参加し、活動の推進を担っています。さらに、多くの漫画家による短編アンソロジーや、CBLDFへの収益寄付を目的とした商品の販売など、多様な資金調達方法を用いています。ビル・ヘイダー氏やジェフ・スミス氏、フランク・ミラー氏といった著名人も積極的に支援を行っています。

主な活動実績と判例:

CBLDFは、設立以来、数多くの裁判に関与し、漫画表現の自由を守るための活動を続けてきました。主な判例には、以下のようなものがあります。

1986年： イリノイ州における漫画販売店主のわいせつ物頒布容疑事件。CBLDFは、訴訟費用支援を行い、無罪判決に貢献しました。この事件がCBLDF設立の直接的なきっかけとなりました。
1991年： カリフォルニア州における漫画への売上税課税に関する訴訟。CBLDFの支援を受けた漫画家は、コミックストリップを書籍や新聞と同等のメディアとして訴え、勝訴しました。
1994年： フロリダ州における地下漫画家のわいせつ物頒布容疑事件。CBLDFは、被告の社会奉仕活動支援を行いました。
2000年： 漫画家のスターバックスロゴパロディ作品に関する訴訟。CBLDFは、法廷外での解決に貢献しました。
2002年： テキサス州における漫画販売店員のわいせつ物展示容疑事件。CBLDFは、被告の法的支援を行いました。
2005年： ジョージア州における漫画販売業者に対する未成年者へのわいせつ物頒布容疑事件。CBLDFは、訴訟の却下へと導きました。
* 2008年： アイオワ州における漫画収集家へのわいせつ罪容疑事件。CBLDFは、コンサルタントとして被告を支援しました。

国際的な活動:

CBLDFは、アメリカ合衆国内にとどまらず、海外での活動も展開しています。2013年には、事務局長が日本を訪れ、コミックマーケットで講演を行うなど、国際的な連携にも取り組んでいます。

CBLDFの意義:

CBLDFは、漫画表現の自由を守るため、法的支援、啓発活動、政策提言など、多様な活動を行う重要な組織です。表現の自由は、民主主義社会において不可欠な要素であり、CBLDFの活動は、この自由を守るための重要な役割を果たしています。今後も、漫画表現を取り巻く環境変化に対応しながら、活動を継続していくことが期待されています。

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