コミュニケーション (グレープのアルバム)

アルバム『コミュニケーション』の概要

グレープがリリースした『コミュニケーション』は、彼らの最後のオリジナルアルバムです。このアルバムの発表をもって、グレープは解散を決定し、メンバーはソロ活動へと進む道を選びました。解散の理由は、メンバーであるさだまさしと吉田正美が求めていた音楽スタイルをグレープでは実現できないと判断したためとされています。このことは、さだのベストアルバムの付録冊子に記載されています。

さだは、後に発表した「無縁坂」や「哀しきマリオネット」、「19才」などの楽曲を、一晩で仕上げたとのエピソードもあります。『コミュニケーション』は1985年にCDとして初めて発売され、2005年にはデジタルリマスタリングを施されて再リリースされ、ボーナストラック「朝刊（シングル・ヴァージョン）」が追加されました。また、このアルバムは1985年から1997年までリリースされたCDにプリエンファシス処理が施されています。

収録曲の詳細

SIDE 1

• - 朝刊

1975年8月にシングルとしてリリースされ、その後のヒット曲「雨やどり」や「関白宣言」につながる作品と位置付けられています。アルバムのバージョンでは、イントロにラジオの交通情報の効果音が加えられており、公放送での誤解を避けるために注意が必要とされました。この曲に出てくる「高田」という名前は、当時のプロ野球選手、高田繁に由来しています。

• - 19才

後年、桂木文がカバーしたこの曲も、さだまさしによる編曲が施されています。

• - 哀しきマリオネット

こちらは服部克久による編曲が特長です。

• - 絵踊り

吉田正美が作詞・作曲し、自ら編曲を手掛けました。

• - かなしいうた

エンディングにサード・シングルの「追伸」のメロディを巧みに組み込んだ作品です。

• - 無縁坂

このシングルは、アルバム発売とほぼ同時にリリースされ、TVドラマ「ひまわりの詩」の主題歌でもあります。不忍池から東京大学に通じる「無縁坂」がテーマであり、大ヒットしたことがグレープ解散の引き金となりました。

SIDE 2

• - 縁切寺

鎌倉市の東慶寺にちなんだこの曲は、後にバンバンがカバーしました。

• - 雲にらくがき

シングル「無縁坂」のB面曲として知られています。

• - 風と空

作詞・作曲は吉田正美が手掛けており、彼自身が編曲も担当しました。

• - 笑顔同封

さだまさしによる編曲が施された楽曲です。

• - フレディもしくは三教街 - ロシア租界にて -

グレープでは最長の楽曲で、さだの母の経験を基にした物語が描かれています。作品内では、歌詞に実在の施設が登場し、漢口大空襲で締めくくられる感動的な内容です。原題は「フレディ」とされていましたが、ディレクターとのやり取りでタイトルが誤記されています。

このアルバムは、グレープの名曲が詰まった一枚であり、ファンにとって特別な意義を持つ作品です。

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