漢口

漢口の概要

漢口（かんこう、英語：Hankou）は、長江とその支流の漢水が交わる地点に位置する地名です。現在、漢口は中国の湖北省に属する武漢市の一部で、かつては中華民国時代に直接統治された都市でした。現在、公式な自治体としての「漢口」は存在しませんが、地域の慣習により、江岸区、江漢区、礄口区、および周囲の東西湖区を総称して「漢口」と呼ぶことがあります。

歴史的背景

漢口は、元々は商業の中心地として知られていた夏口鎮に由来しています。夏口という名前は、当初この土地を流れていた夏水の流れに由来していましたが、夏水が後に漢水（漢江）と名称を変えたため、漢口と改名されました。長江への合流点は、歴史的には漢陽の南側にありましたが、15世紀後半になると亀山の北側に移動しました。これを受けて16世紀には、新たな合流口の北岸に夏口鎮が次第に形成され、周囲の古い都市に対抗する商業都市として成長していきました。

明代中期から、漢口は自然に発展した都市でありながら、明末には武昌や漢陽を凌ぐ商業都市としての地位を確立しました。特に清代には山西や陝西、徽州からの商人たちが集まり、「四大名鎮」と称されるほどの商業拠点と化しました。1858年に天津条約により開港されると、イギリスやドイツ、フランス、日本などの外国勢力が進出し、それぞれ租界を設けました。この時期、漢口は「東方のシカゴ」として知られるようになりました。

武漢の統合と現代の漢口

長江と漢江を挟む漢口、漢陽、武昌の3市は「武漢三鎮」と総称されますが、長大な河川によって隔てられていたため、合併は長らく見送られていました。1927年には、武漢特別市として国民政府の一部となり、4月には公式に市として認知されますが、後に再び分割され、「漢口特別市」となります。1936年には漢口邦人巡査射殺事件が起こり、その後の太平洋戦争中にはアメリカのB-29爆撃機による大空襲に見舞われ、漢口は大きな打撃を受けました。

1949年には中国人民解放軍が漢口を含む武漢三鎮を制圧し、再統合が図られました。その結果、武漢市として新たな出発を果たします。現在、かつての漢口に当たる地域は江岸区や江漢区、礄口区に分かれていますが、漢口地区は今も武漢市の商業的な中心として重要な役割を担っています。地域の発展に伴い、漢口の歴史や文化は都市全体に色濃く影響を与え、観光スポットや経済活動の拠点として、現代の武漢で活躍しています。

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