コミュニティー・リレーションズ

コミュニティー・リレーションズ（CR）とは

コミュニティー・リレーションズ（Community Relations、略称：CR）は、広義には企業や行政が地域住民と良好な関係を築くために行う広報活動を指します。しかし、本稿では、1971年から1972年にかけて日本の公安警察が推進した、公安活動のための地域住民対策としてのCR、別名CR作戦、CR活動（コミュニティ・リレーションズ活動）について詳述します。

CR導入の背景

1960年代以降、大学紛争が激化し、大学生を中心に共産主義的な主張を行う組織が多数生まれました。一部組織は過激化し、公安警察は対応に苦慮していました。事件捜査においても、地域住民の公安活動への反応は冷淡で、捜査は難航していました。

このような状況を打破するため、公安警察はコミュニティー・リレーションズ（CR）を導入しました。

CRとは何か

CRは、学生運動の過激化にもかかわらず、公安活動への反応が薄い地域住民の意識を変えるために実施された、警察から地域住民への広報活動です。その目的は、地域住民に過激派への警戒を促し、捜査への協力や情報提供を奨励することでした。

CRは、公安活動のために地域住民を強力な味方につけ、過激派に対する地域相互監視体制の構築を目指すものでした。

CRの手法

CRでは、以下のような手法が用いられました。

過激派への注意を促すポスターやビラの大量配布、交番、駅、郵便局などの公共施設への掲示
過激派の動向に関する情報提供の呼びかけ
テレビCMなどを利用した広報活動（例：「この顔にピンときたら110番」）
地域住民への公安活動のための聞き込み強化
都市部のアパートやマンションへのローラー作戦（全棟全室への聞き込み）

CRの成果

これらの広報活動の結果、徐々に効果が現れました。過激派対策に苦慮していた公安警察は、対策を強化することが可能になりました。

また、警察が地域住民の支持を得たことで、一部の過激派を含む左翼活動全般が大衆レベルでの支持を失い、過激派活動は縮小を余儀なくされました。その後、過激派活動はより先鋭化し、暴力行為は地域住民ではなく、ハイジャックやあさま山荘事件、内ゲバなどの組織内部へと向かいました。

脚注

参考文献：〇〇警察史

関連項目

公安警察
過激派
大学紛争
学生運動
左翼
新左翼
テロリズム
あさま山荘事件

外部リンク

* コミュニティー・リレーションズ【community relations】-goo辞書

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