コメット・インターセプター

コメット・インターセプター（Comet Interceptor）

コメット・インターセプターは、欧州宇宙機関（ESA）が進める彗星探査ミッションであり、2029年にESAのアリアン6ロケットで打ち上げる予定です。この探査機は、特に初めて太陽に接近する長周期の彗星や、太陽系外から飛来する天体に対してフライバイする計画が立てられています。

ミッションの概要

このミッションの主な目標は、長周期彗星の性質を探ることです。具体的には、彗星の表面組成、形状、構造、そしてコマの成分に関する情報を収集し、太陽系形成の初期の特徴を理解する手助けをすることを目的としています。長周期彗星は、太陽系の形成時の原始的な状態を保っていると考えられており、これらを調査することで太陽系の成り立ちの謎を明らかにしたいとされています。

これらの彗星は大きく偏心した軌道を持ち、周期が200年以上と非常に長いため、観測されるタイミングが限られています。ESAは、これらの彗星の接近を待つため、コメット・インターセプターを太陽-地球間のラグランジュ点2（L2）に「駐機」させることを決定しました。この方式によって、適応可能な速度でフライバイ探査が可能な彗星の出現を待つことができます。

ミッションのユニークさ

コメット・インターセプターは、通常のミッションとは異なり、未知のターゲットを待ち受けて約5年間の期間内に適切な彗星を探査するというユニークな性質を持っています。このため、接近する彗星の発見が遅れた場合には、短周期彗星（例として73P/シュヴァスマン・ヴァハマン）を代替として調査する可能性も考慮されています。

また、コメット・インターセプターには、太陽電気推進を用いた探査機の設計が含まれています。このシステムによって、目標への効率的な到達が期待されています。

探査機の構成

探査機は大きく分けて主探査機Aと、補完的な役割を果たす2つの小型探査機B1およびB2から構成されています。主探査機は彗星のフライバイ数週間前にこれらの小型探査機を展開し、彗星へ接近する際にコマの物質を採取します。各探査機は、彗星周辺のガス組成やダストフラックス、密度、磁場、さらにはプラズマと太陽風との相互作用による物質のサンプリングを行います。これにより、彗星周辺の3Dプロファイルを構築し、様々なデータを集めることができます。

国際的な協力

コメット・インターセプターは、ESAのコズミックビジョンプログラムのFクラス（ファストクラス）ミッションの一環として開発されています。このプロジェクトは、ESAと日本の宇宙航空研究開発機構（JAXA）を含むコンソーシアムによるものであり、同じくL2に向かうESAの赤外線宇宙望遠鏡ARIELとの共同打ち上げが予定されています。

コメット・インターセプターは、太陽系の形成時の情報を解明する鍵を握るミッションとして、多くの期待が寄せられています。

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