コランダム

コランダム (Corundum)

コランダムとは、酸化アルミニウム (Al2O3) から成る結晶であり、鋼玉とも呼ばれます。一般的には無色透明の純粋な結晶ですが、そこに不純物が入り込むことでさまざまな色を呈し、特にルビーとサファイアが有名です。ルビーは赤色、サファイアは青色などを指します。

この鉱物は古くから宝石として重宝されてきましたが、現代では合成技術が進んでいるため、自然界からの採掘に加え、人工的に製造されることも多くなっています。単結晶のコランダムは固体レーザーや精密機械の軸受けに使われることがあり、さらに、多結晶のものは研磨材や耐火物の原料として広く利用されています。興味深いことに、粗い粒状の不純なコランダムは「エメリー」と呼ばれ、これも自然の研磨材として利用されてきました。

結晶構造

コランダムの結晶は六方晶系および菱面体晶系に分類されます。結晶内では、アルミニウムと酸素が歪んだ配置を取ります。具体的には、酸素イオンが形成する窪みにアルミニウムイオンが位置しており、これがコランダム特有の結晶構造を形成しています。もし酸化クロムが混入すると結晶の色がピンクに変わります。これがルビーとして知られ、逆に鉄が含まれることで青色に変わるとサファイアになります。

物理的性質

コランダムは非常に硬い鉱物で、モース硬度はダイヤモンドに次いで9という高さを誇ります。密度は約3.987 g/cm³、融点は2050℃です。結晶面によって多少の違いはありますが、非常に優れた耐久性を持っています。また、固体の状態では絶縁体ですが、高温になると良導電性を持つことも特徴です。

産出地と用途

コランダムは多様な環境で産出されます。火成岩や変成岩で見られ、さらには地殻内部の熱水鉱床から採取されることもあります。主要な産出地にはカナダ、アメリカ、ロシア、南アフリカなどがあり、特にルビーの採掘は東南アジアが中心です。さらに、日本でもエメリー鉱が大分県から産出されています。

用途に関しては、宝石としての需要に加え、合成単結晶は工業用途で活用されています。たとえば、高性能なレーザー装置や精密機械にも多く見られます。さらに、アーク炉で作成された多結晶のコランダムは研磨剤や耐火材としても重宝されています。

合成方法

コランダム（ルビーやサファイア）の合成にはいくつかの方法があります。主要なものを見ていきましょう。

1. 火炎溶融法：フランスのオーギュスト・ヴェルヌイユによって1903年に開発され、低コストで効果的に単結晶を生成できます。

2. フラックス法：融解したフラックス中に結晶の粒を入れることで、コランダムが成長します。

3. 熱水法：高温高圧の環境でアルミナが溶ける特性を利用して人工的に結晶を生成します。

4. 引き上げ法：種結晶を引き上げることで新たな結晶を形成する方法で、比較的新しい技術です。

5. キロプロス法：結晶成長を温度差で制御し、低い格子欠陥で大量生産が可能です。

このように、コランダムは多岐にわたる性質や利用方法があり、今後もその価値が続くことは明白です。

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