コリアンダー

コリアンダー（Coriander）

コリアンダー（Coriandrum sativum）は、セリ科の一年草で、地中海沿岸が原産地です。日本には10世紀ごろに伝わり、特にエスニック料理や様々な料理で重宝されています。コリアンダーは和名でコエンドロとも呼ばれ、また、タイ語ではパクチー、中国語ではシャンツァイ（香菜）として知られています。独特の香りと風味が特徴で、葉や果実を食用にするほか、香辛料としても広く利用されています。

名称の由来

コリアンダーの名前は、ラテン語の「coriandrum」から派生し、ラテン語の「sativum」は「栽培種」を意味します。また、コエンドロという和名は、ポルトガル語の「coentro」から来ており、さらに「胡荽」「コスイ」といった古称も持っています。中国では「芫荽」と表記され、中国料理にも欠かせない存在です。

特徴

コリアンダーは高さ30〜90センチメートルに成長し、無毛の茎が特徴です。葉は羽状複葉で、根元の葉は大きめ、上部の葉は細かく裂けた形状になっています。春から夏にかけて花が咲き、白や淡紅色の小花が集まって一つの花序を形成します。果実は球形で、収穫後は香辛料として用いられます。その香りは柑橘系であり、熟成に従って変化します。

栽培と利用

コリアンダーは主にロシアや中東、アジアの一部、さらには南米でも栽培されています。冬を除いて一年を通じて栽培が可能ですが、高温や湿度の変化に敏感です。葉は特にエスニック料理や生春巻き、スープに使われ、香りを引き出すために調理の最後に加えます。根や茎も風味を増すために料理で使用されます。

歴史

コリアンダーは3000年以上前から使われてきました。古代エジプトやローマ、ギリシャでも薬草として広く知られ、医学的効能が重視されていました。中国にも古くから伝わり、不老不死の妙薬ともされていました。
現代では世界中で人気があり、特に東南アジアや中南米では頻繁に使用される香辛料となっています。日本でもエスニック料理の普及とともに需要が高まり、料理店では頻繁に見られる食材となりました。

味と香り

コリアンダーの風味は、葉と種子で大きく異なります。葉は強い香りと独特の風味を持ち、一部の人には強い好みが分かれます。熟した果実の香りは甘くスパイシーで、料理に深みをもたらします。特に中華料理やタイ料理に欠かせない存在であり、多様な香辛料としての利用法もあります。

健康への寄与

コリアンダーは消化を助ける作用があり、アジア料理で多く使用されています。様々な栄養素を含み、民間療法でも用いられることがありますが、科学的裏付けは限定的です。近年では料理だけでなく健康成分としての利用も注目されています。

コリアンダーは料理のスパイスとしてだけでなく、歴史的な背景や栽培法、風味、健康への効果が注目される魅力的な植物です。

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