コリン・スレイド

1987年 10月10日、ニュージーランド南島の主要都市クライストチャーチで生まれたコリン・スレイドは、国際舞台でも活躍したプロラグビー選手です。身長183センチ、体重90キロの体躯を持ち、ファースト・ファイブ・エイス（スタンドオフ）、フルバック、ウィングと複数のポジションを高い水準でこなせる、多才なユーティリティバックスとして知られています。

若手時代からニュージーランド国内でのキャリア

地元のクライストチャーチボーイズハイスクールを卒業後、カンタベリー大学へ進学。学生時代からその才能は高く評価され、ラグビーニュージーランド代表の19歳以下および21歳以下チームに選出されるなど、早くから将来を嘱望されていました。

彼のシニアキャリアは、2008年にニュージーランド州代表選手権であるエアニュージーランドカップ（現在のITM CUP）のカンタベリー州代表チームで本格的にスタートします。初参戦ながら、当時チームの中心選手であったダン・カーターやスティーヴン・ブレットといったスター選手の不在時に見事なパフォーマンスを披露。その穴を埋める活躍でチームの優勝に大きく貢献し、一躍その名を広めました。

翌2009年には、南半球の最高峰リーグであるスーパー14（現在のスーパーラグビー）に参入。伝統ある名門チーム、クルセイダーズの一員となります。このシーズンは主にウィングとして出場機会を得ました。同年秋のエアニュージーランドカップでは、カンタベリーでフルバックとしてプレーし、異なるポジションでも適応力の高さを見せました。

2009年には、ニュージーランド代表の二軍にあたるジュニア・オールブラックスにも選ばれ、IRBパシフィック・ネイションズ・カップに出場。この国際大会での活躍が、シニア代表であるオールブラックスのトレーニンググループに招集されるきっかけとなりました。

オールブラックスでのデビューと怪我との戦い

2010年のスーパー14シーズンでは、クルセイダーズでフルバックとしてプレー。南アフリカのストーマーズ戦では、スーパーラグビーでの記念すべき初トライを記録しました。同年、オールブラックスの正ファースト・ファイブであるダン・カーターが負傷したことを受け、コリン・スレイドは急遽チームに招集され、オーストラリア代表との試合で途中出場し、念願の代表デビューを飾りました。

この年のITM CUPでは、再びカンタベリーの中心選手として、今度はファースト・ファイブのポジションからチームを牽引。カンタベリーのリーグ3連覇達成に貢献しました。

2011年シーズンからは、同じスーパーラグビーのハイランダーズへ移籍。しかし、この移籍初年度は度重なる不運に見舞われます。プレシーズンマッチで顎を骨折し、約2ヶ月後に復帰した矢先に再び同じ箇所を骨折。このシーズンはわずか2試合の出場にとどまってしまいました。

怪我からの回復途上ではありましたが、同年秋に地元ニュージーランドで開催されたラグビーワールドカップ2011では、再び負傷したダン・カーターの代役としてオールブラックスに選出されます。プール戦のアルゼンチン戦に出場しましたが、彼自身もこの試合中に怪我を負ってしまい、残念ながら以降の試合には出場できませんでした。

怪我の影響は続き、2012年3月のスーパーラグビーの試合では足首を骨折。この重傷により、彼はその年の残りのシーズンも棒に振る形となりました。

海外挑戦と日本でのプレー

度重なる怪我からの復帰を経て、コリン・スレイドは新たな挑戦の場を海外に求めます。2015年にはフランスのラグビープロリーグであるPro D2に所属するポー（Section Paloise）に加入。フランスの地でプロキャリアを続行しました。

同年秋には、イングランドで開催されたラグビーワールドカップ2015にもオールブラックスの一員として出場。チームの連覇に貢献しました。

フランスでのプレーを経て、2020年には日本のトップリーグに参戦。三菱重工相模原ダイナボアーズに加入しました。そして、2021年2月21日に行われたジャパンラグビートップリーグの開幕戦、サントリーサンゴリアスとの試合に先発出場し、日本での公式戦デビューを果たしました。

プレースタイルと評価

コリン・スレイドは、その卓越したラグビースキルで知られています。特に、正確なハンドリング、状況に応じた巧みなキック、そしてディフェンスラインを切り裂くランニング能力には高い定評がありました。ファースト・ファイブ、フルバック、ウィングと複数のバックラインポジションを高いレベルでこなせるユーティリティ性は彼の大きな強みです。その広い視野と判断力、そして多彩なスキルセットは、かつてオールブラックスやクルセイダーズで活躍したアンドリュー・マーテンズに例えられることもありました。

度重なる怪我に悩まされたキャリアではありましたが、その確かな実力とラグビーセンスで、ニュージーランド国内リーグ、スーパーラグビー、そしてオールブラックスにおいて重要な役割を果たし、さらに海外リーグや日本のトップリーグでも経験を積んだ、多角的な経歴を持つ選手です。

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