コリーネ・ロッツヘーファ

コリーネ・ロッツヘーファ（Corine Spier-Rottschäfer）は、1938年5月8日にオランダ北ホラント州のホールンで生まれ、2020年9月24日に82歳でその生涯を閉じた、オランダを代表するモデルです。

彼女のキャリアは1957年に本格的に始まりました。まず国内のミス・ホランドに選出され、その数週間後にはミス・ヨーロッパの栄冠に輝きます。これはオランダ代表として初めての快挙でした。しかし、このミス・ヨーロッパとしての公務のため、同年開催されたミス・ユニバースへの出場は叶いませんでした。彼女の名前はミス・ユニバースのプログラムブックには記載されていたものの、実際にステージに立つことはありませんでした。この時期、彼女と共にミス・ヨーロッパに参加した他の国の代表者たち、例えばイングランド代表のソニア・ハミルトンはミス・ユニバース1957で3位に入賞し、フィンランド代表のマリタ・リンダールはミス・ワールド1957で優勝するなど、世界の舞台で活躍を見せています。

翌1958年、コリーネはカリフォルニア州ロングビーチで開催されたミス・ユニバースに満を持して出場しました。ここで彼女はトップ15に入り、さらにミス・フォトジェニック賞を受賞しました。記録によれば、彼女はミス・ユニバースのプログラムブックに2度掲載された唯一の人物であるとされています。

そして、彼女のキャリアの頂点ともいえる出来事が1959年に訪れます。ミス・ワールド1959への出場です。実は、当初オランダ代表として選ばれていたのは別の候補者でしたが、彼女にドイツでの重要なモデルの仕事が入ったため、急遽コリーネに白羽の矢が立ちました。彼女は他の出場者よりも遅れてロンドンに到着しました。大会当日、決勝が始まる数時間前という緊迫した状況で、彼女の着用予定だったドレスに穴が開いているのが見つかるというアクシデントに見舞われました。幸運なことに、イスラエル代表のジヴァ・ショムラートが快く自身のドレスを貸してくれたことで、難を逃れることができました。皮肉なことに、ドレスを貸してくれたジヴァは、この大会で3位に入賞しています。

この大会でコリーネは、オランダ代表として史上初のミス・ワールド優勝を果たしました。しかし、その直後、アメリカ代表のロレッタ・パウエルから、彼女のスリーサイズ（37-22-37インチ）がパッドによって「盛られている」という不正の訴えがなされました。急遽再計測が行われましたが、不正がないことが証明されました。ロレッタはさらに、審査員の一人がコリーネの婚約者であるとも主張しましたが、これも事実無根でした。優勝の副賞として、コリーネは4000ギルダーの賞金に加え、自動車とガソリン引換券を獲得しました。これらの物品はアムステルダムへの輸送が難しかったため売却され、さらに6000ギルダーの収入を得たとされています。

ミス・ワールド優勝後、1960年代前半にかけて、コリーネは国際的なトップモデルとして成功を収めました。1960年代後半には、アムステルダムに自身のモデルエージェンシー「Corine's Agency」を設立しました。これはベネルクス地域で初のプロモデル専門のエージェンシーであり、世界的にも評価の高いエージェンシーの一つとなりました。彼女は長年にわたりモデル業界で活躍し、2002年に引退しました。

私生活では、1962年に元ジャーナリストで建築家のエド・スピアと結婚し、二人の子供をもうけました。彼女の姪であるボディーン・ケーラーもまた、2012年にプエルト・リコ代表としてミス・ユニバースに出場しており、美の系譜は受け継がれています。

オランダの美のアイコンとして、そして革新的なビジネスウーマンとして、コリーネ・ロッツヘーファは多方面にわたり影響を与えました。彼女の功績は、オランダのファッション史、そして世界のビューティーコンテストの歴史に深く刻まれています。

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