コルチゾン

コルチゾン：副腎皮質ステロイドホルモンとその役割

コルチゾンは、副腎皮質から分泌されるステロイドホルモンの一種です。化学式はC₂₁H₂₈O₅で、副腎皮質ステロイドに分類されます。その生理作用や化学構造から、コルチコステロンと密接に関連しています。

ストレス応答と生理作用

コルチゾンは、アドレナリンと並んで、体がストレスに反応する際に重要な役割を果たすホルモンです。ストレスにさらされると、コルチゾンは血圧を上昇させ、身体を「闘争か逃走か」反応へと促します。しかし、コルチゾン自体は活性型ホルモンではなく、コルチゾールの前駆体として機能します。

コルチゾールへの変換

コルチゾンが活性を持つコルチゾールへと変換されるには、11-β-ステロイド脱水素酵素という酵素による働きが不可欠です。この酵素は、コルチゾンの11位のケトン基をヒドロキシル化することで、コルチゾール（別名ヒドロコルチゾン）を生成します。コルチゾールは、糖質コルチコイドの主要な作用物質であり、コルチゾンの持つ生理作用のほとんどを担っています。実際、糖質コルチコイドによる作用の95％はコルチゾールによるものであり、コルチゾンの寄与はわずか4～5％程度です。コルチコステロンの寄与はさらに少ないです。

医療における応用と副作用

医療現場では、コルチゾンは様々な病気の治療に用いられます。点滴静脈注射や皮膚からの投与が行われます。しかし、コルチゾンには免疫系を抑制する作用があり、これは治療における有害な副作用となる可能性があります。この免疫抑制効果は、高いストレスが病気につながりやすいという現象の説明にも繋がります。

発見とノーベル賞

コルチゾンは、アメリカの化学者エドワード・カルビン・ケンダルによって最初に発見されました。ケンダルは副腎皮質ホルモンの発見、その構造と機能の解明において重要な貢献を果たし、フィリップ・ショウォルター・ヘンチ、タデウシュ・ライヒスタインと共に1950年にノーベル生理学・医学賞を受賞しました。彼らの研究は、内分泌学や医学の進歩に大きな影響を与えました。

まとめ

コルチゾンは、ストレス応答、コルチゾールへの変換、そして医療における応用など、様々な側面を持つ重要なステロイドホルモンです。その生理作用や医療での利用、そしてその発見にまつわる歴史は、内分泌学や医学における重要な知見として、現在も研究が続けられています。 コルチゾンは、人体における複雑な生理プロセスの一端を担っており、その作用と影響を理解することは、健康維持や病気の治療に役立ちます。

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