コルッチョ・サルターティ

リーノ・コルッチョ・サルターティ（1331年 - 1406年）は、イタリア・ルネサンス期における重要な政治家であり、人文主義者です。彼はフィレンツェ共和国の書記官長を約30年に渡り務め、同国を人文主義運動の中心地へと発展させる上で重要な役割を果たしました。

生涯

サルターティは1331年にブッジャーノで生まれ、ボローニャで学びました。公証人として様々な都市を巡る中で、ボッカッチョやネッリといった人文主義者と交流を深めました。教皇領での勤務を経て、1375年にフィレンツェ共和国の書記官長に就任。卓越した指導力で共和国を導きました。

業績

サルターティの功績は多岐にわたります。

古典研究の推進: ペトラルカに師事し、古典ラテン語の復興に尽力。公文書に古典ラテン語の修辞法を導入し、その文章は高く評価されました。また、マヌエル・クリュソロラスを招聘し、フィレンツェでギリシア語を教えさせるなど、ギリシア文化の復興にも貢献しました。
人文主義の擁護: サルターティは、人文主義者を保護し、フィレンツェを学術の中心地として発展させました。
政治思想への影響: 代表作『専制君主論』は、マキャヴェッリの『君主論』に先駆けた作品として知られています。共和制的な理想を抱きつつも、晩年には君主制を是認する立場を取るなど、彼の思想は複雑な変遷を遂げました。

人物評

サルターティは、その才能と影響力から、様々な評価を受けています。「キケロの猿 (Scimmia di Cicerone)」と称されるほど古典ラテン語に精通していた他、ジョヴァンニ・ヴィスコンティからは「サルターティの筆は、1000人の騎兵に等しい」と評されました。これは、彼の文章が持つ説得力と政治的影響力を物語っています。

作品

『De saeculo et religione』（1381年）
『De fato, fortuna et casu』（1393年 - 1399年）
『De nobilitate legum et medicinae』（1399年）
『専制君主論 (De tyranno)』（1400年）
『Invectiva』（1403年）
* 『ヘラクレスの功績について (De laboribus Herculis)』（絶筆）

サルターティは、ルネサンス期フィレンツェの政治と文化に多大な影響を与えた人物として、今もなお高く評価されています。

もう一度検索