コルト AA2000

コルト AA（オールアメリカン）2000は、アメリカの老舗銃器メーカー、コルト・ファイヤーアームズ社が1990年代初頭に開発・製造した自動拳銃です。1980年代後半、アメリカの警察機関で、従来のダブルアクションリボルバーからオートマチックピストルへの移行が進む中、コルト社は自社の警察市場でのシェアを取り戻すべく、次世代拳銃の開発に着手しました。

この銃は、著名な銃器設計者であるユージン・ストーナーとC.リード・ナイトによって設計され、1990年のSHOTショーで初公開されました。数年にわたる共同開発の末にデザインが完成しましたが、コルト社に引き渡された後、最終的なデザインに対する二人の意見はほとんど反映されなかったと言われています。リード・ナイトは当初、トリガープルを6ポンドにすることを求めていましたが、コルト社はこれを12ポンドに増やし、銃身長とグリップフレームの長さも延長しました。

しかしながら、コルト社の革新的な試みにもかかわらず、AA2000は市場での評価を大きく損なうことになります。信頼性の低さを指摘する報告が相次ぎ、1993年にはリコールを余儀なくされる事態となりました。結果として、大規模な販売は失敗に終わり、わずか2年後の1994年には生産が終了しました。コルト社の社長であるロン・ウィテカー氏は、「経済的な生産を行うには販売量が不十分だった」と述べています。コルトの歴史家であるリック・サップは、この銃を「会社の歴史の中で、最も恥ずべき失敗の一つ」とまで酷評しています。また、銃器インストラクターのマサド・アヨブも、その非合理的なデザインと精度の低さを批判しました。

AA2000の特徴としては、コルト社の拳銃としては初のポリマー製フレームを採用した点が挙げられます。フロントサイトとリアサイトは固定式の3点ドットサイトとなっています。作動機構は、20世紀初頭の古典的な拳銃であるステアーM1912を参考にしたダブルアクションオンリーのロータリーバレル式ショートリコイルを採用しています。この機構では、バレルラグがカムブロックに回転して停止するまで、スチール製のバレルとスライドが後方に移動します。次に、バレルラグが所定の位置に合わさると、スライドが後退を続け、排莢が行われます。分解は比較的容易で、主要部品は7つに分離可能です。また、多くのポリマーフレームピストルとは異なり、グリップパネルが取り外し可能となっています。

ポリマーフレームモデルに加え、木製グリップを備えたアルミフレームモデルも生産されました。しかし、両モデルとも生産期間が短かったため、現在ではコレクターの間で人気があります。

AA2000は、コルト社が新しい市場を開拓しようとした試みでしたが、信頼性の問題から商業的な失敗に終わったモデルです。しかし、そのユニークな設計と短命に終わった歴史から、コレクターの間では注目を集める存在となっています。

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