ユージン・ストーナー

ユージン・ストーナー：革新的な銃器設計者の生涯

ユージン・ストーナー（Eugene Stoner, 1922年11月22日 - 1997年4月24日）は、アメリカの著名な銃器設計者であり、20世紀の軍用小火器の歴史に大きな影響を与えた人物です。彼の設計した銃器は、その革新的な機構と高い性能により、世界中の軍隊や法執行機関で広く採用されました。

生い立ちと初期のキャリア

ストーナーは、高校卒業後に航空機会社に就職し、航空機用火器の整備に携わりました。第二次世界大戦中にはアメリカ海兵隊に入隊し、太平洋戦線で実戦を経験しました。この経験が、後の彼の銃器設計に大きな影響を与えたと考えられています。

戦後、ストーナーは航空機会社フェアチャイルドの銃器開発部門であるアーマライト社に技術者として入社しました。そこで彼は、スポーツライフルの開発に携わり、数々の革新的な設計を生み出しました。

AR-10とAR-15の開発

1955年、ストーナーは彼の代表作ともいえるAR-10を開発しました。AR-10は、当時としては画期的な設計であり、軽量で反動が少ないという特徴を持っていました。しかし、AR-10は商業的には成功しませんでした。

数年後、ストーナーはAR-10を小型化したAR-15を開発しました。AR-15は、AR-10の設計をさらに改良し、より軽量で取り扱いやすい銃器として完成しました。このAR-15は、後にアメリカ軍にM16として採用され、世界中で広く使用されることになります。

アーマライト社退社とストーナー63

AR-15の製造権がコルト社に売却されたことがきっかけとなり、ストーナーは1960年代初頭にアーマライト社を退社しました。その後、キャデラック・ゲージ社に招かれ、ストーナーはパーツの交換により小銃や機関銃に変化するストーナー63を開発しました。ストーナー63は、そのモジュール式の設計が特徴であり、様々な用途に対応できる汎用性の高い銃器でした。

その後のキャリアとカラシニコフとの出会い

ストーナーはその後、様々な銃器開発会社を転々とし、数々の銃器開発に携わりました。彼は、常に革新的な設計を追求し、より高性能で使いやすい銃器の開発に情熱を注ぎました。

冷戦終結後の1990年5月16日、ストーナーはアメリカを訪れたソビエト連邦のAK-47の設計者であるミハイル・カラシニコフと初めて対面しました。東西を代表する銃器設計者である二人は、数日間語り合い、親交を深めました。この歴史的な出会いは、冷戦終結を象徴する出来事の一つとして語り継がれています。

晩年と遺産

晩年、ストーナーは愛弟子のリード・ナイツと共にナイツ・アーマメント社を設立し、M16をベースにした銃の設計に携わりました。しかし、その完成を見ることなく、1997年に癌で亡くなりました。彼の遺志は、ナイツ・アーマメント社によって引き継がれ、現在も革新的な銃器開発が続けられています。

ユージン・ストーナーは、その革新的な銃器設計を通じて、軍用小火器の歴史に大きな足跡を残しました。彼の設計したAR-10、AR-15（M16）、ストーナー63などは、現代の銃器の基礎となっており、その影響は計り知れません。

関連項目

AR-10
M16
ストーナー63
AR-18
コルト AA2000
アーマライト

もう一度検索