コルト・シングル・アクション・アーミー

コルト・シングルアクション・アーミー

コルト・シングルアクション・アーミー（通称：ピースメーカー、またはSAA）は、西部開拓時代に広く利用された回転式拳銃です。1873年に製造が開始され、翌年からはアメリカ陸軍に正式に支給されました。この拳銃は、軍用として設計される一方で、民間市場にも多くのバリエーションが存在します。特に、民間型のモデルには「COLT FRONTIER SIX SHOOTER 44-40」との刻印があります。

構造と機能

コルト・シングルアクション・アーミーは、6発の弾薬を装填可能で、主に.45ロングコルト弾を使用します。一部のモデルでは、ウインチェスターM1873ライフルと弾薬の互換性を持つために、.44-40弾を使用するものも存在しています。初期は黒色火薬を主剤とした弾薬を前提に設計されていましたが、後に無煙火薬にも対応しました。

この拳銃はシングルアクションのみで作動し、自動拳銃のように能動的な安全装置はありません。弾薬を装填する際は、撃鉄をハーフ・コックにし、ローディングゲートを開いてからエジェクターを使用して一発ずつ装填します。特筆すべきは、他の同時期のモデル（スミス&ウェッソンのリボルバーなど）が持つ交換可能な輪胴とは異なり、SAAはシリンダーが一体型であるため、他の弾薬との交換が難しい構造です。

軍用としての評価

1911年にM1911が制式拳銃として採用されるまで、コルト・シングルアクション・アーミーはアメリカ軍にとって重要な役割を果たしました。その信頼性と.45ロングコルト弾の威力は、多くの兵士から支持を集めました。また、西部開拓時代の伝説的な法執行機関として知られるテキサス・レンジャーでも、現在も一部の隊員がこの拳銃を使用していることが知られています。

各種バリエーション

コルト・シングルアクション・アーミーには多くのバリエーションが存在します。民間向けのモデルは「フロンティア」や「ピースメーカー」などの愛称が付けられ、各々異なる銃身長や口径で提供されています。また、騎兵向けの「キャバルリー」や、砲兵向けの「アーティラリー」、さらには特別な「バントラインスペシャル」と呼ばれる長銃身型も存在します。
これらのバリエーションには、特注で装飾されたモデルもあり、一部には著名な歴史的人物が所有していた銃も存在します。特に、ワイアット・アープが使用していたとされるバントライン・スペシャルは特に有名です。

文化における影響

コルト・シングルアクション・アーミーは、西部劇において欠かせないアイテムとされています。西部劇のスタイルを象徴する「荒野」「砂漠」「馬」「銃」の一つとして、その存在感は絶大です。実際、この拳銃は歴史的な象徴として多くの演技や物語の中で取り上げられています。しかし、注意すべき点は、1872年から1875年までの間は全ての銃が軍に送られていたため、1875年以前の西部劇における民間人の使用はフィクションである点です。

コルト・シングルアクション・アーミーは、その独特なデザインと歴史的背景から、今なお多くの人々に愛され、さまざまな舞台で親しまれています。

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