コルナヴァン駅

ジュネーヴ・コルナヴァン駅（フランス語名：Gare de Genève-Cornavin）は、スイス有数の世界都市、ジュネーヴの中心部にある主要な鉄道駅です。その名称は、駅名標や一部の時刻表では単に「Genève」または「GENÈVE」と簡潔に表示される一方、フランス国鉄（TERオーヴェルニュ＝ローヌ＝アルプ）の時刻表では「GENÈVE-CORNAVIN」と、より具体的に表記されるなど、利用する路線によって表現が異なります。

この駅は一日に約40,000人もの旅客が利用しており、スイス国内でも特に重要な交通拠点の一つに数えられます。立地としては、サン＝ジェルヴェ地区、ル＝グロッテ地区、ル＝パキ地区という複数のエリアの境界に位置しています。鉄道機能に加え、ジュネーヴ市内の公共交通網における重要な結節点としての役割も担っており、「Gare Cornavin」と記された停留所には路線バスや路面電車が集まります。駅前広場の地下には公共駐車場も整備されており、多角的な交通ニーズに応えています。

また、コルナヴァン駅は単なる旅客ターミナルに留まらず、スイス連邦鉄道（SBB-CFF-FFS）やフランス国鉄の車両を収容する機関区や、車両の維持・修繕を行う工場が隣接しており、鉄道運行上の重要な拠点としての機能も併せ持っています。

その歴史は19世紀後半に遡ります。当時のジュネーヴ・リヨン鉄道によって建設が計画された際、騒音や公害を避けるため、市街地からやや離れた郊外に位置が定められました。駅とその路線は1858年3月16日から18日にかけて祝典をもって開業を迎え、当初はパリ＝リヨン＝地中海鉄道によって運営されていました。開業後、駅の規模拡大が二度行われ、1873年と1893年に拡張工事が実施されています。

しかし、1909年2月には火災に見舞われ、駅舎は大部分が焼失してしまいました。再建にあたっては石造りの堅牢な建物が建てられ、1912年からはスイス連邦鉄道による運営が開始されました。鉄道網の近代化も進み、1925年にはジュネーヴとローザンヌを結ぶ路線の電化が完成しています。

1919年4月28日に開催されたパリ講和会議で、国際連盟の本部をジュネーヴに置くことが決定されると、ジュネーヴ市内では大規模な再開発の機運が高まりました。これに伴い、コルナヴァン駅の駅舎も建て替えられることとなり、建築家のユリアン＝フレゲンハイマーとスクルプタン＝ヤッケ＝プロブストの設計により、現在の駅舎が誕生しました。中心となる駅本屋は1929年前半に竣工し、駅全体の工事は1931年に完了しています。

近年のスイス連邦鉄道は、「レールシティ（RailCity）」というコンセプトを掲げ、鉄道駅を単なる乗降場ではなく、魅力的なサービスを提供する生活の中心地へと変貌させています。この取り組みの一環として、コルナヴァン駅も大規模な改修が行われました。2004年からは駅の西側エリアが刷新され、残る部分についても2009年から2012年にかけて現代的な設備への更新が進められました。現在、駅構内には50を超える多彩な店舗、バー、レストランなどが軒を連ね、さらに警察署などの公共施設も設けられており、多くの人々が利用する複合的な施設となっています。ジュネーヴの交通、商業、そして歴史の中心として、コルナヴァン駅は今もなお重要な役割を果たし続けています。

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