コルバッハの戦い

コルバッハの戦い（1760年）

コルバッハの戦いは、七年戦争中の1760年7月10日、ヴァルデック侯国のコルバッハで発生しました。この戦いでは、フランス軍がイギリス、ハノーファー、ヘッセン＝カッセル連合軍を打ち破り、1760年戦役の幕開けを飾りました。

戦いの背景

コルバッハは標高の高い場所に位置し、周囲の平野から400メートル以上の比高がありました。町の東にはベルンドルフの森が広がり、交通の要衝でもありました。当時、フランス軍の本隊はブロイ公の指揮下でコルバッハの南、連合軍はフェルディナント・フォン・ブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテルの指揮下で東に位置していました。フランス軍はヘッセンを通過してハノーファーへ進軍する命令を受けており、コルバッハはヘッセン＝カッセルの首都カッセルからほど近い場所にありました。

7月9日、ハノーファーの軽騎兵指揮官ニコラウス・フォン・ルックナーがコルバッハを占領しましたが、兵力不足のため、翌10日にはサンジェルマン伯爵率いるフランス軍の前衛に追い払われました。これを受け、フェルディナントはブラウンシュヴァイク＝ヴォルフェンビュッテル公子カール・ヴィルヘルム・フェルディナントに、サンジェルマン軍の撃退とブロイ軍との合流阻止を命じました。

両軍の兵力

連合軍は、ジョン・グリフィン率いるイギリス軍を中心に、ハノーファー、ヘッセン＝カッセルからの部隊を加えた混成軍でした。イギリス軍は、少なくとも6個歩兵大隊、3個騎兵大隊、2個騎兵大隊、そして18門の大砲を有する部隊で構成されていました。連合軍全体の兵力は、19個歩兵大隊、14個騎兵大隊にのぼり、ルックナー軍も控えていました。

一方、サンジェルマン軍は、当初2個旅団でしたが、その後、3個スイス人連隊、ナヴァール連隊、王立連隊が加わりました。兵力については諸説あり、10個歩兵大隊と15個騎兵大隊で約7千とする説や、6個旅団で約1万とする説があります。いずれにせよ、歩兵に加えて17個騎兵大隊を有していました。

戦闘の経過

サンジェルマン伯爵は、コルバッハの町に4個歩兵大隊を配置し、残りの歩兵、砲兵、騎兵をコルバッハ山に展開させました。カール・ヴィルヘルム・フェルディナントは直ちに攻撃を開始しましたが、フランス軍の陣形により、彼は左後方に隙間のある陣形を取らざるを得ませんでした。この位置は、フランケンベルクからフランス軍の増援が来た場合、脆弱な地点となっていました。

戦闘は午前9時、両軍の軽騎兵による小競り合いから始まりました。その後、両軍は激しい砲撃と歩兵の射撃を交わしましたが、フランス軍は持ちこたえました。特にコルバッハとベルンドルフの間にある2つの森で戦闘が激化し、フランス軍はドイツ軍を押し込みました。公式報告によると、フランケンベルクからのフランス軍の増援が連合軍の後方に到着したため、カール・ヴィルヘルム・フェルディナントは撤退を決断しました。

撤退中、連合軍のドイツ歩兵と騎兵の間で混乱が生じ、フランス軍はこれに乗じて砲撃を強化し、騎兵による突撃を敢行しました。カール・ヴィルヘルム・フェルディナントは自ら近衛竜騎兵連隊を率いて撤退を援護し、多くの部隊を救出しましたが、連合軍右翼の王立砲兵大隊と18門の大砲がフランス軍に奪われました。

戦いの影響

コルバッハの戦いは、1760年戦役における最初の戦闘でした。フランス軍の勝利により、ブロイ公は順調に進軍を進めました。フェルディナントとカール・ヴィルヘルム・フェルディナントは、その後のエムスドルフの戦いやヴァールブルクの戦いで敗北を喫しました。また、10月のクローステル・カンペンの戦いでの勝利によって、アメリカでの敗北が相殺され、イギリスが有利な条件で戦争を早期に終結させる望みは潰えました。

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