コレギウム・ムジクム

コレギウム・ムジクム（Collegium Musicum）

コレギウム・ムジクム（ドイツ語: Collegium Musicum）は、主に16世紀から18世紀にかけて、ドイツ語圏において発展した民間の音楽愛好団体の名称です。これらの団体は、多くの場合、都市の市民や学生によって構成されていましたが、時には専門の音楽家が参加することもありました。

その起源は、16世紀の宗教改革期に遡ります。当初はプロテスタントの信徒たちが聖歌を歌うために集まった声楽アンサンブルとして形作られました。これが17世紀に入ると器楽アンサンブルへと移行し、公共の場での演奏活動を行うようになり、18世紀には最も活発な活動を展開し、全盛期を迎えました。

文献で確認できる最初のコレギウム・ムジクムによる公開演奏会は、1660年にマティアス・ヴェックマンの指導のもと、ハンブルクで開催されたものです。

数あるコレギウム・ムジクムの中でも特に知られているのは、1701年にゲオルク・フィリップ・テレマンによって設立され、1729年からはヨハン・ゼバスティアン・バッハが指導者を務めたライプツィヒの団体です。ライプツィヒのコレギウム・ムジクムは、ゴットフリート・ツィマーマンが経営するコーヒーハウスを主な活動場所とし、そこで定期的な演奏会を行いました。これらの演奏会には、ゴットフリート・ハインリヒ・シュテルツェルやヨハン・ゲオルク・ピゼンデルといった同時代の著名な音楽家も客演しています。なお、テレマンはライプツィヒの後も、1713年にフランクフルト・アム・マインで、1722年にはハンブルクで新たなコレギウム・ムジクムを設立しています。

ドイツ語圏以外にも、1744年以降、アメリカ合衆国でもモラヴィア系移民によってコレギウム・ムジクムが結成され、音楽活動が行われました。

19世紀に入ると、コレギウム・ムジクムという名称の使用は一時的に衰退しましたが、20世紀初頭にその名が再興されます。1909年、ライプツィヒ大学の教授であったヒューゴ・リーマンが大学内にコレギウム・ムジクムを再建したことを契機に、各地の大学における古楽アンサンブルや音楽団体に「コレギウム・ムジクム」の名称が再び用いられるようになりました。

今日、この名称はドイツの総合大学に所属するアマチュア・オーケストラや音楽団体の名称として使われることが一般的です。これらの団体は、原則として放課後の部活動という位置づけで、学生が主体となって運営されています。ただし、音楽学科を擁する大学の場合、音楽学科の学生や教員と連携し、より実践的な活動を行うことも少なくありません。活動の主なものとしては、年に2回、それぞれの学期末に、大学の講堂（多くの場合、パイプオルガンを備えている）で大規模な定期演奏会を開催することが挙げられます。また、国内外の他大学との交流や演奏旅行を行う機会も多くあります。さらに、複数のアマチュア・オーケストラや、大規模なアマチュア混声合唱団が併設されている場合もあります。大学の主催で、音楽大学の学生を定期的に招いて室内楽などを共演する企画も実施されており、レベルの高い演奏に触れる機会も提供されています。また、これらの団体は、古楽器の収集や、大学における古楽研究の伝統的な活動拠点としての役割も担っています。

参考文献

Wolff, Christoph (2001). Johann Sebastian Bach: The Learned Musician. W. W. Norton & Company.

関連項目

シュトゥットガルト・バッハ・コレギウム
バッハ・コレギウム・ジャパン
コレギウム・ムジクム・テレマン

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