コレクティブハウス

コレクティブハウスの概要

コレクティブハウスとは、スウェーデンやデンマーク、オランダなど北欧諸国において、友人や家族と共同で生活を行うスタイルを指します。これは、共用の食堂や育児室などの共有スペースを持ちながら、各戸に台所、浴室、トイレなどの個別の生活空間を備えた住宅形態です。近年、共働き世帯や単身高齢者の増加が進む中、子育てや日常生活の中での相互のサポートを求めるニーズが高まり、コレクティブハウスへの関心が高まっています。

成り立ち

コレクティブハウスの起源は、1925年から1935年にかけてスウェーデンのストックホルムで、建築家スヴェン・マルケリウスが計画した居住プロジェクトに遡ります。このプロジェクトはノーベル平和賞受賞者アルバ・ライマル・ミュルダールと共同で行われたもので、その理念が現代のコレクティブハウスの基盤となっています。

長所と短所

長所

１. 負担の軽減: コレクティブハウスでは、家事や雑務を住人同士で分担することができるため、時間や金銭的な負担が軽くなります。個々の生活では全てを独りでこなさなければなりませんが、共同生活では協力が得られるため、より効率的な生活が可能です。

２. 孤独感の解消: 無縁社会が進む中で、他者との触れ合いが少ない生活が孤独感を生むことがあります。コレクティブハウスに住むことで同じ屋根の下で生活する仲間がいるため、精神的な安心感やサポートを得られます。

３. 相互扶助: 病気や怪我などで自分が困難な状況に陥った時、住人同士が助け合い、介護や看護を受けやすくなります。これにより、安心して生活できる環境が整います。

短所

１. 人間関係の複雑さ: 共同生活では、個々の生活スタイルの違いや感情のもつれが生じることがあります。血の繋がりがないため意見の対立が起きやすく、他人との生活では我慢にも限界があります。その結果、一部の住人が共同生活から離脱することも予想されます。

日本における状況

日本では、2003年に小谷部育子らにより東京都荒川区の日暮里コミュニティ内に、共同生活を行う「コレクティブハウスかんかん森」が設立されました。また、NPOコレクティブハウジング社が群馬県前橋市で「コレクティブハウス元総社コモンズ」を2013年にオープンするなど、国内でも新しい生活形態としての動きが見られます。

また、阪神淡路大震災の際には、高齢者のために自治体が設立した公営住宅が、一定期間共同生活を行う場として活用されました。これらの事例から、日本においてもコレクティブハウスの重要性が認識されるようになっています。

しかし、コレクティブハウスの今後の方向性については、公共事業としての展開が望ましいのか、民間のNPOによる運営が適しているのかの議論が続いており、確かな形が見いだされるには時間がかかるかもしれません。

参考リンク

• - NPOコレクティブハウジング社
• - コレクティブハウス元総社コモンズ

コレクティブハウスは、個々の生活の質を向上させるための新しい選択肢として、今後ますます重要視されることでしょう。その可能性を追求することで、共に支え合う社会が構築されることが期待されます。

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