スヴェン・マルケリウス

スヴェン・マルケリウス（Sven Gottfried Markelius, 1889年10月25日 – 1972年2月24日）は、スウェーデンを代表する建築家、都市計画家であり、その革新的な思想と実践は、20世紀の建築界に大きな影響を与えました。ストックホルムで生まれたマルケリウスは、1920年代からコンクリートを用いた建築設計に取り組み、機能主義建築とコレクティブハウスの開拓者として知られています。

人物

マルケリウスは、1910年から1915年までストックホルムのロイヤル工科大学アートスクールで建築を学びました。卒業後、ラグナル・アンド・オームなどの建築設計事務所で経験を積んだ後、独立。バウハウスなどの近代建築思想に強く影響を受け、1928年にはCIAM（近代建築国際会議）の創立メンバーとして参加しました。1930年のストックホルム国際博覧会では、現代住宅部門に作品を出展し、その才能を広く知らしめました。

1931年、マルケリウスは他の4人の建築家と共に著書を刊行し、スウェーデン国内におけるモダニズム建築の旗手となりました。この頃から、社会改革家であるアルバ・ライマル・ミュルダールと出会い、彼の支援を得て、ストックホルムに実際にコレクティブハウスを建設します。このコレクティブハウスは、保育施設や共有炊事場、集会場などを備え、入居者が共同生活を送りながら家事労働を効率化するという、新たなライフスタイルを提案しました。マルケリウスは、このような住環境の整備をその後30年にわたり続け、近代主義思想に基づいた社会的なゲゼルシャフト思考の建築と都市計画を提唱しました。

1944年から1954年までの間、マルケリウスはストックホルム市都市計画部長を務め、都市の変革を主導しました。彼は、市の伝統的な市街区や建築物を排除し、自動車交通に対応した新たなグリッド街区を形成しました。その結果、マルケリウス自身が設計したビルが数多く建設されましたが、その多くは後に改造されることになりました。

1952年には、マルケリウスは国連事務局からデザイン顧問委員会委員に任命され、ニューヨークの国連本部設計に参画しました。ル・コルビュジエやオスカー・ニーマイヤーらとともに、アメリカ人建築家ウォーレス・ハリソンの下で、国際的なプロジェクトに貢献しました。さらに、国連本部の経済社会理事会会議室は、彼の提唱によってスウェーデンから寄贈され、内装にはスウェーデン産の松材が使用されました。

1962年には、マルケリウスはその功績が認められ、RIBAゴールドメダルを受賞しました。その他にも、ヘルシングボリ・コンサートホールなど、数多くの都市計画や建築プロジェクトに携わっています。

マルケリウスは、ユネスコ本部の建築設計にも深く関わっており、ベルナール・ゼルフュス、マルセル・ブロイヤー、ピエール・ルイージ・ネルヴィらと共同でプランを作成しました。エーロ・サーリネンを顧問とし、ルシオ・コスタ、ヴァルター・グロピウス、ル・コルビュジエ、エルンスト・ロジャースらと審査にも参加しています。

代表作

John Ericsson Gatan6
BEST WESTERN WALLIN

参考文献

* 『二十世紀の建築家たち I』佐々木宏、相模書房、1973年

もう一度検索