コレーエツ (航洋砲艦・初代)

コレーエツ（Кореец）

コレーエツはロシア帝国海軍に所属していた航洋砲艦で、コレーエツ級砲艦の1番艦にあたります。この艦船は1886年に竣工し、1888年から就役を開始しました。同級艦としては合計8隻が存在しましたが、日露戦争での重要な役割を担ったことで特に知られています。艦名はロシア語で「朝鮮人」を意味し、朝鮮半島との関わりを反映しています。

艦歴の詳細

コレーエツは1885年にスウェーデンのストックホルムで起工され、1886年8月7日に竣工しました。当初はロシア太平洋艦隊に配属され、1895年までには日本や韓国、中国北部の港を頻繁に訪れる活動をしていました。その中でも、特に1900年の義和団の乱では八ヵ国連合軍の一部として行動し、大沽砲台への攻撃を試みました。この戦闘では、コレーエツは砲台から攻撃を受けるものの、その結果、乗組員の9名が死亡し20名が負傷するという大きな被害を受けました。

1904年には、ロシアと日本の間の緊張が高まったため、コレーエツは仁川港に派遣されました。その直後に日本艦隊の接近が報告され、出航準備をしていた際に誤って日本の巡洋艦「千代田」に砲撃を行ってしまう事件が発生しました。この出来事が日露戦争の始まりとされることもありますが、両国間での初発の発砲はどちらが行ったのかは不明な点があります。

仁川沖海戦では、日本海軍の少将から降伏を求められた「ヴァリャーグ」と共に、コレーエツはその要求を拒否して強行突破を図ります。この戦闘の中でコレーエツは52発の砲撃を行いましたが、いずれも日本艦隊に命中することはありませんでした。一方、日本艦隊の攻撃により「ヴァリャーグ」は非常に大きな損害を受け、コレーエツも被弾して多くの死傷者を出しました。

午後になると両艦は攻撃の持続が困難となり、仁川港に退避を余儀なくされます。最終的に「コレーエツ」は自らの弾薬庫を爆破して自沈し、乗組員はフランスの巡洋艦「パスカル」によって救助された後、ロシアに帰還しました。サンクトペテルブルクに戻った際には、乗組員全員に対して第4級聖ゲオルギイ勲章が授与される名誉が与えられました。1905年には日本軍によって浮揚され、その後解体されました。

二代目コレーエツ

二代目のコレーエツは、ギリャーク級砲艦として1906年にサンクトペテルブルクで進水しました。第一次世界大戦に参加し、その後、1915年にムーンサウンド海戦でドイツ軍に捕えることを拒否し、乗組員によって自ら爆破されました。

こうした経緯を持つコレーエツは、ロシア・日本の関係や海軍戦略の歴史の一部として重要な位置を占めています。

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