コロナ質量放出

コロナ質量放出（CME）について

コロナ質量放出、またはCME（Coronal Mass Ejection）は、太陽活動によって引き起こされる現象で、太陽から大量のプラズマが宇宙空間に放出されることを指します。この現象は、特に宇宙飛行士や飛行機のパイロットにとって重要な関心事であり、彼らの健康や安全に影響を及ぼすことがあります。

CMEの発見と歴史

コロナ質量放出は、1970年代にスカイラブに搭載されたコロナグラフによって初めて観測されました。当初、この現象は太陽フレアに伴う爆風と考えられ、コロナ突発現象（coronal transient）と呼ばれていました。しかし、より詳細な研究が進むにつれて、CMEとは単なる爆風ではなく、実際に大規模なプラズマが太陽から放出されることが明らかになりました。このことから、現在の名称である「コロナ質量放出」が定着しました。

CMEの発生メカニズム

CMEは、太陽フレアと共に放出されることが多いですが、必ずしもフレアに先行または関連して起こるわけではありません。研究により、弱いX線信号がCMEと類似した巨大アーケード構造を示すことが確認され、CMEとフレアには何らかの関係があることが示唆されています。

この現象の根底には、太陽の磁場からのエネルギー解放があり、フレアは電磁的なエネルギー放出として、CMEは機械的な運動エネルギーとして現れます。観測データによると、CMEは惑星間空間に巨大な影響を及ぼし、エネルギーやプラズマの集まりとして存在します。

CMEの性質

CMEにより放出されるプラズマの速度は、通常の太陽風の速度（約400 km/sec）を上回り、時には700-800 km/secに達することもあります。さらに、放出される質量は10^12 kg（約10億トン）にも達し、これは地球の約6兆分の1に相当します。

CMEの構造は、外側がループやシェル状の層、内側にプロミネンス、そしてその間に空洞が存在する3部構造となっています。この構造により、CMEは惑星間空間での撹乱を引き起こし、地球の磁気圏に達すると、重大な地磁気変動を引き起こすことがあります。

CMEの影響

興味深いことに、CMEは太陽風との相互作用の中で高速に移動し、地球近傍では300-800 km/secの速度になることがあります。このため、CMEはICME（Interplanetary CME）と呼ばれ、通常の太陽風よりも地球に対してより強い影響を及ぼします。特に、CMEから発生する南向きの磁場が地磁気変動に寄与することが多く、これが直接的な影響をもたらします。

さらに、太陽フレアに比べてCMEのほうが地球の磁場に与える影響が大きくなることが示唆されています。このことは、著名な研究者であるJ. T. Goslingの主張によって支持されています。

まとめ

コロナ質量放出は、現代の天文学と宇宙物理学において重要な研究課題であり、太陽の活動が地球や宇宙の環境に与える影響を理解するために不可欠な現象です。今後の研究が進む中で、CMEがどのようにして地球に影響を与えているか、さらなる解明が期待されています。

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