コロニア・グエル教会

コロニア・グエル教会（カタルーニャ語: Cripta de la Colònia Güell）は、スペイン・バルセロナ近郊のサンタ・クローマ・ダ・サルバリョーに位置する、アントニ・ガウディの設計による教会です。

概要

この教会は、コロニア・グエルという繊維工場を中心とした工業団地内に建設されました。労働者のために住居、学校、病院などが併設され、その一環として礼拝用の教会堂が計画されました。ガウディが設計した礼拝用の椅子は特徴的な形状をしています。建設当初、安価なレンガを使用する予定でしたが、塔を支える柱には強度が必要なため、硬質な玄武岩が用いられました。また、階高が十分に確保できない箇所には鉄骨梁が使用されました。2005年には、アントニ・ガウディの作品群の一つとして、ユネスコの世界遺産（文化遺産）に登録されています。

建築過程

1898年、ガウディは工業団地内の教会堂の建設を依頼されました。設計にあたり、構造的安定性を追求するために逆さ吊り実験を行い、その結果、計画案の作成に10年を要しました。着工は1908年で、6年後の1914年にはガウディはサグラダ・ファミリア聖堂の建設に専念するため、このプロジェクトから離れ、助手たちに建設を任せました。1915年には半地下部分が完成し、教会堂として利用が開始されました。その後、仮設の屋根などが設置されましたが、1916年には建設が完全に中断されました。1955年からは教区教会堂として使用されていますが、上層部分は未完成のままです。

敷地

教会は、住宅街の外れに位置する松林に囲まれた小高い丘の傾斜面に建てられています。

構成

教会堂は半地下部分と上層部分の2層で構成されています。上層部分が未完成であったため、半地下部分が教会堂として利用されました。内部はクーポラ天井が全面に採用されており、外郭の塔は約40メートルの高さがあります。地下聖堂は卵型の平面をしており、中央には4本の玄武岩の柱が立っています。これらの柱は弓型アーチで結ばれており、そこからヴォールトを支えるリブが伸び、列柱、そして周壁へと力が伝えられる構造となっています。壁には花びら型の枠の中に黄、青、緑、バラ色のステンドグラスがはめ込まれており、そこから差し込む光が優しい空間を演出しています。

参考文献

• - 鳥居徳敏（監修）『入門ガウディのすごい建築』洋泉社MOOK、2014年
• - 鳥居徳敏『ガウディの建築』鹿島出版会、1987年
• - 入江正之・瀬木慎一・中渡憲彦（著）総合美術研究所（編）『「アントニ・ガウディ」その建築的ヴィジョン』総美社、1995年

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