コンコルド墜落事故

コンコルド墜落事故：超音速旅客機の終焉

2000年7月25日、シャルル・ド・ゴール空港を離陸直後のエールフランス4590便（コンコルド）が墜落し、乗員乗客109名全員と地上の4名を合わせた113名が犠牲となる大惨事が発生しました。この事故は、当時世界で唯一運航されていた超音速旅客機コンコルドの安全性に深刻な疑念を抱かせ、その後の運命を大きく左右することになりました。

事故の概要

エールフランス4590便は、ドイツの旅行会社がチャーターしたニューヨーク行きの便でした。離陸滑走中にタイヤが破裂し、その破片が燃料タンクを損傷、漏れ出した燃料に引火しエンジンが炎上しました。パイロットは離陸を試みましたが、機体は制御不能となり、空港近くのホテルに墜落しました。この事故は、コンコルドにおける唯一の人身死亡事故となりました。

事故原因の究明

事故調査の結果、滑走路に落ちていたDC-10のエンジン部品がタイヤを破裂させたと判明しました。この部品は、コンチネンタル航空のDC-10から脱落したもので、同社の整備不良が事故の根本原因とされました。フランス司法当局はコンチネンタル航空を刑事告発しましたが、最終的には無罪判決が下されています。

事故機の詳細

機材：アエロスパシアル-BAC コンコルド
機体記号：F-BTSC
就航：1975年
飛行時間：約9,000時間（1994年時点）

事故後の影響

この事故を受け、コンコルドの耐空証明は一時取り消され、運航は停止されました。安全対策を施した後、2001年11月に運航は再開されましたが、同時多発テロの影響による航空不況や、元々高コストだった機体の収益性の低さから、2003年10月までに全機が退役することになりました。

スカイチーム初の死亡事故

2000年は、エールフランスを含む4社が航空連合スカイチームを創立した年でもあり、この事故はスカイチームにとって初めての死亡事故となりました。

墜落の状況

離陸時、機体後方から黒煙が上がっているのが確認されましたが、離陸決心速度を超えていたため、離陸を中止できませんでした。離陸後、エンジン火災が発生し、機体は制御を失い、ホテルに墜落しました。墜落現場では大規模な火災が発生し、鎮火まで3時間を要しました。

犠牲者

乗員9名、乗客100名全員と、墜落現場付近にいた4名の計113名が死亡しました。乗客の多くは、ニューヨークから豪華客船によるカリブ海クルーズに参加する予定のドイツ人観光客でした。

事故原因の詳細

1. タイヤの破裂: 離陸滑走中に金属片を踏み、タイヤが破裂。
2. 燃料タンクの損傷: 破裂したタイヤの破片が燃料タンクを直撃し、燃料が漏出。
3. 燃料への引火: 漏れ出した燃料が何らかの原因で引火し、エンジンが炎上。
4. 機体の制御不能: エンジン火災により機体が制御不能となり、墜落。

コンチネンタル航空の責任

フランスの事故調査当局は、事故原因となった金属片を落下させたコンチネンタル航空の整備不良を指摘しました。同社は刑事告発されましたが、控訴審で無罪となっています。

事故調査の詳細

墜落現場は詳細に調査され、機体の残骸はル・ブルジェ空港に運ばれ、さらなる調査が行われました。ブラックボックスも回収され、事故当時の状況が解析されました。

エンジン出力の低下

ブラックボックスの記録から、離陸時に左翼のエンジンの推力がほとんど失われていたことが判明しました。火災警報を受け、エンジンを停止したことが原因とされています。

映像化

この事故は、ナショナルジオグラフィックチャンネルの「衝撃の瞬間2」や、「メーデー!:航空機事故の真実と真相」などで検証番組が放送されています。

コンコルド墜落事故は、超音速旅客機の時代に終止符を打つ悲劇的な出来事として、航空史に深く刻まれています。

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