コンコルド橋

コンコルド橋（フランス語: Pont de la Concorde）は、フランスの首都パリを流れるセーヌ川に架けられた重要な橋の一つです。市の中心部に位置し、賑やかなコンコルド広場と、対岸のオルセー河岸を結ぶ動脈としての役割を担っています。

この橋は、その歴史の中で何度か名称を変えたことでも知られています。建設当初はルイ16世橋と名付けられましたが、フランス革命の激動期には革命橋と呼ばれ、やがてコンコルド橋という現在の名称に落ち着きました。コンコルド（調和）の名が定着したのは1830年のことです。

橋の建設計画は、コンコルド広場（当時はルイ15世広場）周辺の整備と並行して1725年に始まりました。この地には、かつて渡し船があり、後に「ポン・ルージュ」と呼ばれる赤い仮設橋が架けられていましたが、本格的な橋で置き換える必要があったのです。1787年以降は、著名な技術者であるジャン＝ロドルフ・ペロネが建設責任者となりました。特筆すべきは、フランス革命の最中に橋が架けられたため、解体されたバスティーユ牢獄の石材が建設資材の一部として再利用された点です。これは革命の象徴的な出来事と橋の建設を結びつける、歴史的なエピソードとなっています。建設作業は急速に進められ、1791年8月17日に既存の赤い橋が撤去された後、セメントの流し込みや舗装工事が短期間で行われました。

橋上には、その後の時代に様々な装飾が施されました。1810年、第一帝政期にはナポレオン・ボナパルトの指示により、名誉ある戦死を遂げた8人の将軍の彫像が据え付けられました。しかし、王政復古の時代になると、これらの将軍像は撤去され、12体の壮麗な大理石像に置き換えられました。これらは、コルベール、リシュリー、シュジェール、シュリーといった4人の偉大な大臣、バイヤールやテュレンヌを含む4人の著名な陸軍軍人、そしてレネ・デュゲトルーアンやアブラハム・デュケーヌといった4人の海軍軍人を象徴するものでした。しかし、これらの大理石像はその重量があまりにも大きかったため、橋の構造に負担をかけることが懸念されました。このため、当時の国王ルイ・フィリップによって撤去が決定され、像はヴェルサイユ宮殿へと移されて今日に至ります。

時代が進むにつれて、パリの交通量は飛躍的に増加しました。特にコンコルド橋は、その立地から膨大な交通量を抱えるようになりました。この状況に対応するため、1930年から1932年にかけて大規模な拡幅工事が実施され、橋の幅はそれまでの約2倍になりました。さらに、1983年にもリフォームが行われるなど、継続的なメンテナンスが施されています。現在では、パリ環状道路（ペリフェリック）に位置する橋を除けば、パリ市内で最も交通量の多い橋となっています。

コンコルド橋へのアクセスは非常に便利で、パリメトロの1号線、8号線、12号線が乗り入れるコンコルド駅が最寄りの駅となります。セーヌ川を挟んで、コンコルド橋の周辺には他の歴史的な橋が点在しており、上流側にはロワイヤル橋、そしてモダンなレオポール・セダール・サンゴール橋（かつてのソルフェリーノ橋）が位置しています。一方、下流側には、その華麗さで知られるアレクサンドル3世橋、さらにアンヴァリッド橋が続いており、セーヌ川沿いの美しい景観を形成しています。

コンコルド橋は、その建設にまつわる歴史的な背景、名称の変遷、そして絶えず変化する都市の交通需要に対応してきた改修の歴史を通じて、パリの重要なランドマークであり続けています。

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