シュジェール

シュジェール

シュジェール（1081年頃 - 1151年1月13日）は、12世紀フランスの聖職者、政治家、歴史家として活躍しました。彼はフランス王ルイ6世とルイ7世の2代にわたり、政治顧問として重きをなし、特にゴシック建築の先駆けとされるサン＝ドニ大聖堂の建設を主導したことで知られています。

生涯

シュジェールは1081年頃、パリ近郊のアルジャントゥイユで、比較的裕福な農民の家庭に生まれました。10歳の時、サン＝ドニ修道院に入り、そこで後のフランス王ルイ6世と出会い、学友として親交を深めます。

1107年にはノルマンディー、1109年にはシャルトル近郊のサン＝ドニ修道院の分院長として、修道院の荘園経営に携わりました。1122年、41歳でサン＝ドニ修道院長に就任すると、修道院の腐敗一掃に尽力するとともに、大規模な改修に着手します。

院長就任当初は贅沢な生活を送っていましたが、クレルヴォーのベルナルドゥスからの指摘を受け、質素な生活に改めました。しかし、教会を美しく飾り立てることを信仰の一環と捉え、1136年（または1140年）には、最初のゴシック建築の聖堂とされるサン＝ドニ大聖堂の建設を開始。この聖堂は1144年6月11日に献堂されました。

政治家として

政治面では、学友であったルイ6世、そしてその子ルイ7世の2代にわたり政治顧問を務めました。ルイ6世からは、武断派のヴェルマンドワ伯ラウル1世と並ぶ文治派の重臣として重用され、政治の相談役、戦後処理の和睦工作、ローマ教皇庁との外交を担当しました。1135年には、ルイ6世と対立していたブロワ伯兼シャンパーニュ伯ティボー4世を、ラウル1世と共にルイ7世の後見人に据える条件で懐柔しています。

ルイ7世に対しては教育係を務め、1137年のルイ7世とアリエノール・ダキテーヌの結婚式にラウル1世・ティボー4世と共に同行。同年即位したルイ7世とポワティエの争いに介入し穏便な処置で済ませましたが、アリエノールの怒りを買い宮廷から遠ざけられました。これは、ルイ7世が武断派のラウル1世に傾倒し、ポワティエ遠征に非協力的だったティボー4世を疎んじたため、彼と親しい和平派のシュジェールも疎まれたことが背景にありました。

1144年のサン＝ドニ大聖堂献堂の儀式では、ラウル1世・ティボー4世およびルイ7世の仲介を務め、政治顧問に復帰。ルイ7世が第2回十字軍に出征して不在中の1147年から1149年にかけては摂政を務め、帰国したルイ7世から「国父」の称号を贈られました。十字軍後に不仲となったルイ7世とアリエノールの仲を取り持ち、1150年にアンジュー伯兼ノルマンディー公ジョフロワ5世とルイ7世が対立した際も仲介に動きました。ノルマンディーへ出兵寸前のルイ7世を説得して思い止まらせましたが、翌1151年に死去。遺体はサン＝ドニ大聖堂に埋葬されました。シュジェールの死後、仲介者を失ったルイ7世とアリエノールの関係は破局を迎え、1152年に二人は離婚しました。

歴史家として

シュジェールはまた、『ルイ6世伝』『ルイ7世伝』をはじめとする歴史書を著しました。これはフランス王室による修史事業の始まりであり、これらの史料は中世フランス史の研究において非常に重要なものと評価されています。

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