コンコード (カリフォルニア州)

コンコード：サンフランシスコ・ベイエリアの隠れた魅力

カリフォルニア州コントラコスタ郡に位置するコンコードは、人口約12万5千人の都市です。サンフランシスコの東、BART路線沿いにあり、サンフランシスコ・ベイエリアの中でも主要な都市として発展を遂げてきました。1869年、サルビオ・パチェコとして設立され、その後コンコードと改名。その歴史は、この地を古くから住処としていたミウォク族の人々、そしてスペイン人探検家の訪れから始まります。

歴史：ミウォク族から現代都市へ

ディアブロ山の北に広がる谷間は、かつてミウォク族が住み、豊かな自然の中で生活を営んでいた場所でした。スペイン人探検家の訪れを経て、1834年にはランチョ・モンテ・デル・ディアブロがサルビオ・パチェコに払い下げられます。パチェコは、この地を基盤に1869年、トドス・サントス（全ての聖者たち）として町を建設、後にコンコードと改名されました。19世紀には、火災や洪水に見舞われたパチェコから多くの住民がコンコードに移住し、発展の礎となりました。1905年には正式に法人化され、現代都市としての歴史が始まりました。

農業と経済：多様な産業

コンコード周辺は、イグナシオ・バレーとクレイトン・バレーに囲まれた広大な農業地帯が広がり、ブドウ、クルミ、アーモンドなど、多様な農作物が栽培されてきました。禁酒法時代にはブドウ園の一部がクルミ園へと転換されるなど、時代の変化と共に産業構造も変化を遂げてきました。近年は、サンフランシスコやオークランドへのベッドタウンとしての役割に加え、ラウンドテーブルピザの本社や、シェブロン、バンク・オブ・アメリカなどのバックオフィス設置などにより、地域経済の多様化が進んでいます。サンバレー・ショッピングセンターは、かつて世界最大の屋内型ショッピングセンターとして知られていました。

ポートシカゴの惨事：歴史の影

第二次世界大戦中、コンコード海軍武器庫から出港した海軍貨物船での弾薬爆発という悲劇が発生しました。1944年7月17日、320人以上もの水兵と民間人が犠牲になる大惨事となり、その爆風は30マイル以上にも及びました。この事件は、後に258人のアフリカ系アメリカ人水兵が弾薬積込を拒否する海軍史上最大の反逆事件へと発展し、50人が有罪判決を受けました。この裁判には、後の最高裁判事サーグッド・マーシャルも関わっており、人種差別問題を浮き彫りにする出来事となりました。

地理と気候：多様な地形と地中海性気候

コンコードは、サンフランシスコ、オークランド、サクラメント、サンノゼといった主要都市の中間地点に位置しています。市域は30.5平方マイルで、多様な地形から成り立っています。ダウンタウンはトドス・サントス・プラザを中心に発展し、近年再開発が進められています。古くからの住宅地や工業地域、そしてラテン系住民が多い地域など、多様なエリアが存在します。気候は地中海性気候に属し、温暖な気候が特徴です。

教育と文化：活気あふれる街

コンコードには、マウント・ディアブロ統一教育学区の学校や、カトリック系のデ・ラ・サール高校、カロンデレット高校など、充実した教育機関があります。デ・ラ・サール高校のアメリカンフットボールチームは、かつて151連勝という偉業を達成しました。また、コンコード・ジャズフェスティバルや、ジャズピアニストのデイヴ・ブルーベックが生まれた地としても知られ、音楽文化が盛んです。ブルーデビルスという世界的に有名なドラムコーもコンコードに拠点を置いています。

交通とメディア：アクセス良好な都市

BART路線が通っており、交通の便は良好です。コンコード市内には、ブキャナン・フィールド空港がありますが、現在定期旅客便は運航していません。地元紙のイーストベイ・タイムズやコンコード・トランスクリプト、そして多数のラジオ局、テレビ局が情報発信を行っています。

今後の展望

コンコード海軍武器庫跡地の再開発計画など、今後の発展も期待されています。歴史と自然、そして現代的な発展が調和したコンコードは、サンフランシスコ・ベイエリアの魅力を凝縮した都市と言えるでしょう。

もう一度検索